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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年10月4日付け

 関西学院大学の国際学部を卒業するためには、留学経験が必須なのだという。世界中の百校以上と提携し、ブラジルでも2校が受け入れている。遅きに失した感はあるが、違う視点で日本を見ることの大事さを認識した人材育成だろう。当事者では分からないこともある。足元を見ればコロニアも同じだ▼麗澤大学の名誉教授である丸山康則さん(84)が8回目の来伯中だ。コロニア関係の著書「ブラジル百年に見る日本人の力」「ジャポネース・ガランチード」「ブラジルに流れる『日本人の心の大河』」がある。出版元のモラロジー出版の関係者は三部作と思っていたそうだが、今回の来伯は4冊目の取材で来年の刊行を予定する▼日系人の教え子に請われて遊びに来て以来、「日本人にこの歴史を伝えなければ」との使命感に駆られたという。元々は心理学がご専門。全くの畑違いなのだが、移住史は心理学的にも興味深いのだとか。移住地における集団心理の分析などがあれば読んでみたいもの▼今回は、プロミッソンの安永忠邦さん、ミナス州でコーヒー園を持つ下坂匡さんらに加え、グァタパラ移住地に移住した元全拓連理事の近藤安雄さん、サンタ・カタリーナ州ラーモス移住地の桜公園に尽力した滝沢正吉さんなど故人の足跡も辿っている▼同移住地では取材した小川和己さんが、その晩息を引き取った。1時間半ほど証言映像を撮った後だったそうで「まさに遺言」と丸山さん。コロニアの声を残す仕事の大事さを感じた様子。「書くネタがありすぎて」との傘寿を超えての執筆意欲に当方もタジタジ。5、6冊目も期待したいところ。(剛)

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