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日本が伯産牛肉の輸入停止=国際機関「無視できるレベル」=〃過剰〃反応に困惑の声=早期解除の楽観的見方も

ニッケイ新聞 2012年12月12日付け

 ブラジル国内で牛海綿状脳症(BSE、狂牛病)が発生したとの報告があったとする国際獣疫事務局(OIE)の発表を受け、日本の農林水産省と厚生労働省は8日、加工品を含む牛肉製品の輸入を緊急停止した。ブラジル内のBSEの感染が報告された事例は初めてだが、OIEが7日に公開したレポートでは検体の死因がBSEによるものではない可能性にも言及しており、当地関係者の間では困惑が広がっている。ブラジルメディアによれば、今回の発表で輸入制限を設けている国は日本のみと見られている。

 これまでの日本のブラジルからの加工牛肉の輸入量は年間約1400トン(総数の約0・3%)。生鮮牛肉の輸入は、ブラジルが口蹄疫発生国であるため行っていない。
 「うちの主力製品の多くが規制に引っかかってしまう。今は事態を静観するしかないですが、万が一長引けば会社にとって大きな問題。輸送中で入港させられないものは返品となってしまうかも」。サンパウロ市に本社を置く加工食肉輸出業者の代表Aさんは肩を落とす。「取引先の加工肉の生産業者も『どうして日本だけ』と困惑している」と話し、釈然としない様子を見せた。
 178の国と地域が加盟し、家畜の安全基準を定める役割を持つOIEは、7日に公開したレポートの中で、検体となった牛の死因はBSEによるものではないという可能性に言及、同機関が設定する国別BSE危険度レベルの評価も「無視できるレベル」のまま据え置いている。
 在ブラジル日本国大使館の森田健太郎書記官(農水省より出向)は、「情報も少なく、はっきりしたことがわからない以上、万が一に備え国民の生活の安全を確保するために大事をとった」と日本側の対応について説明し、「ブラジル側から詳細な情報が提示され、問題ないという確証が取れれば早期の規制解除はあり得る」との見解を示した。
 なお、近日中に在日本ブラジル大使館から、農水、厚労の両省にデータが提供される見通しであるという。
 BSEに感染したとされる検体はパラナ州セルタノポリス市の農場で2010年12月に死亡が確認され、国内外の複数の研究機関で検査が行われてきたという。

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