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援協・SUS病院=建物〃落成式〃を実施=開院は来年4月を予定

ニッケイ新聞 2012年12月19日付け

 サンパウロ日伯援護協会(菊地義治会長)が聖南西サンミゲル・アルカンジョ市に建設しているSUS専門病院の建物のイナウグラソンが16日、現地で行なわれた。
 建物面積は3千平米余り。建物の外観は完成しており、受付、4床を設置した病室などが公開された。
 今後は未完成部分の工事を進め、医療機器の搬入やスタッフの採用などを経て来年4月の開院を目指す。投資額は建設費約900万レ、医療機器など約600万レをあわせ総額1500万レに及ぶ。
 受け入れるのは市内にある救急診療所(pronto-socorro)から搬送される患者のみ。経営は連邦政府(SUS)、援協、市の3者で行われるが、市長が交代するため、具体的なことは今後交渉する必要があるという。
 最初の3年は40床、最終的には100床まで増やす見込みで、初年度は赤字を覚悟しての経営となる。
 建設はさまざまな要因で当初の見込みより遅れ、まだ完全には出来上がっていない状態だが、援協が「今年中に病院を建てる」と市側に伝えていたことや、建設に尽力したアントニオ・セルソ・モシン同市長が今期で退任するため「何か記念になることを」と考えた同地の森エリオ市議会長や文協関係者の計らいで、今回のセレモニー開催に至った。
 式には多くの援協役員、福嶌教輝在聖総領事、市役所や文協関係者、日系議員ら約200人が出席。次期市長の小田原ジョゼ氏は姿を見せなかった。
 挨拶にたったモシン市長は、「素晴らしいプレゼントをもらった」と援協と文協関係者に謝意を示し、「次期市長は必ず仕事を引き継いでくれるはず。ここで多くの命が生まれ、救われるようになる」と言葉を詰まらせ、挨拶を終えて席につくと涙を流した。
 同じく今期限りで職を辞する森エリオ氏は、「サンミゲル文協は50周年、ピニャール移住地は60周年を迎える記念すべき年に病院ができたことが嬉しい。次なる挑戦は開所と治療開始、その次は経営の持続」とのべ、菊地会長は「ここにいることが誇り。これから市民と一緒に歩を進めたい」と挨拶した。
 その後はエントランスでのテープカット、プレートの除幕、建物公開と続き、記念植樹として4本の桜が植えられた。
 同市にあるコロニア・ピニャール文協の西川修治会長は、「こんな病院がサンミゲルにできて夢のよう。日系社会の力だと思う」と喜びの声を寄せた。
 セレモニー終了後、一行はサンミゲル文協会館に移動し、太鼓の演奏や食事を楽しんだ。

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