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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年1月11日付け

 サッカーのリオネル・メッシ選手が4年連続で世界最優秀選手に選ばれる直前の日曜、最大のライバル、クリスチアノ・ロナウド(以下CR)選手の実録番組をグローボ局で放送していた。眩いスポットライトがメッシに集まった時、すぐ横の真っ暗闇で、同じ時代に生まれた不幸を呪った男だ▼同番組でCRがマデイラ島出身だと初めて知った。大西洋に浮かぶポルトガル領マデイラ島とアソーレス諸島からは17世紀以降、当地へ大量に渡ってきた。ポルトガル移民の大半を占めたのは同国北部か両島であり、共に農地が狭く貧困な地域だ▼寡黙なメッシとは対照的に、CRは目立ちたがり屋で気が強いのが特徴だが、辺境の島育ちという屈折感情の裏返しと思えば納得しやすい▼以前、ポルトガル大使館に勤務した外交官から、両島について「歴史的な交通の要衝で、沖縄みたいな存在ですよ」と聞いた。同番組でCRの母が同島人を「劣っていて、優れていて、そして異なっている」と複雑な表現で誇っていたのが印象的だった。小さな島だがその存在感は大きく、「沖縄」との共通点を感じる▼18世紀中頃に両島出身者が南伯に大量移住した先の一つがサンタカタリーナ島だった。以後2世紀に渡って当地でも孤立した島の生活を続けたため、現在もフロリアノポリスには島方言の片鱗が残っているとか▼そこはまさに1803年に、若狭丸の漂流者ら日本人4人がロシア船で来て伯国初上陸した地だ。当時は大量移住からわずか半世紀で、独立前だから伯人意識すらなかった時代だ。今年はそれから210周年。CR同様、この初上陸にももっと陽が当てられていいのでは。(深)

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