ホーム | 日系社会ニュース | 「酒蔵に追い風」と笑顔=南部美人 久慈さん酒ブームに期待=ブラジルの輸入手続に苦言も

「酒蔵に追い風」と笑顔=南部美人 久慈さん酒ブームに期待=ブラジルの輸入手続に苦言も

ニッケイ新聞 2013年2月6日

 「酒蔵に追い風」—。岩手県の地酒「南部美人」の5代目蔵元で、本紙にも「地酒コラム」(金曜日掲載)を寄せる久慈浩介さんが、近年の酒蔵の状況をそう報告した。
 昨年日本政府は、国酒(日本酒と焼酎)認知度の向上と輸出促進を目指す『エンジョイ・ジャパニーズ国酒』事業を立ち上げた。すでに酒蔵を巡る「酒蔵ツーリズム」や、140以上の在外公館での日本酒販売、政府主催行事における日本酒を使った乾杯推奨など、関連事業が始まっている。
 久慈さんは「民間の働きを政府がようやく認めた」と喜ぶ一方、ブラジルに関しては「距離は遠いが心は近い。有望市場なのは間違いないが、もっと関税を安くし、輸入手続きを簡素化しないと、他の蔵元が来るのは難しい。もっと門戸を開いてほしい」と希望を語る。
 久慈さんによれば、約1500の蔵元のうち輸出を行うのは約200。ブラジルに進出するのはわずか30ほどだ。
 日本酒の輸入窓口である大和商事は、サンパウロ州だけで約7百軒もの日本食店と取引しており、見目朋実営業担当は「ここ数年で販売量が2〜3倍になった。この勢いならこれからも増える」と言う。
 久慈さんは「ブラジルに住む日本人、日系人の皆さんも誇りを持って日本酒で乾杯をしてほしい」と笑顔で話した。
     ◎
 先月26日、南部美人の試飲会がサンパウロ市イタイン・ビビ区の日本食店で約10人を集め行なわれた。主催は大和商事、進行は日本酒コンサルタント「春」が担当した。
 今回出されたのは本醸造、純米吟醸、そして特許商品である糖類無添加梅酒の3種。梅酒は低カロリーで料理との相性も良いと女性に人気で、当地でも2年前から販売されている。
 「春」の与那城ヤスミン、山根ソニアさんらによる飲み方の手ほどきを聞きながら、参加者は各食事に合わせて出される酒の味を楽しんだ。
 森松義さん(65、二世)は「色々な種類が試せたし、どんな料理に合うか分かった」と満足気に話した。

image_print