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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年2月7日

 偉人や経営者の体験談などを読むと、思いがけない出会いや偶然がきっかけで、名を成していくといったエピソードに出会う。「ラッキーだったんだな」とは思わない。何かを掴もうとしている人にだけ天が与える配剤と思うからだ。他方、頑張っても踏ん張っても報われない人もいる。やはりソルチは人の上に立つ人の大事な素質といえるのだろう▼で、木多文協会長である。「これまでの4年で何をしたか?」とコロニアにアンケートしたら、答えられる人はいるだろうか。文協がいくつか抱える問題の全面解決は何も成し遂げていない。高齢者に配慮し、かねての念願である文協大講堂の空調設備すらなし得なかった。ご本人は壇上のあいさつで脂汗をかいても、ウィスキー一杯で忘れてしまうのだろう▼それが今回の1億円寄付で確実となった。篤志家との間を取り持った日下野良武氏の貢献100%の〃棚から牡丹餅〃でしかないのだが、後年は「木多会長時代にビル改装」となるわけである。全くソルチな男だ▼もう一つの幸運は、晴れて3期目に突入できることだ。寄付以前だと慰留はないかも知れないが、今回のタイミングは本人が関わらざるを得ない。「特別委員会を設け準備に取り掛かる」と意気込んでいるのに水を差すようだが、国士舘プロジェクトはどうなったのか。聞くが野暮か▼次期選挙について近い人いわく「ま、やっちゃうんじゃないですか?」とか。木多氏にとって文協会長とは、うっかりやってしまうものなのだ。その状況もソルチなのであり、このコラムを読めないこともまたしかり。その名を聞けば「喜八郎」。まさに名は体を表す。(剛)

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