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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年3月13日

 戦後移住60周年を記念し、海外日系人協会が主催する「ブラジル移住者里帰り訪日使節団」の一行が今月末に日本に向け出発、20人(付き添い除く)が半世紀ぶりに祖国の地を踏む。参加者はどんな思いで臨んでいるのかー。共催するサンパウロ新聞社が12日に行った説明会を覗いてみた。事前に電話取材もし、「説明会で会いましょう」と受話器越しに約束もしていた▼「日本語は分からんよ。もうブラジル人だから」と電話で口数少なかった角田智明さん(84、広島)は戦前移民。実に79年ぶり。会って話してみると、「日本の親戚に見せたい」という和服姿の祖父母や開拓時代の写真を前になかなかの饒舌ぶり。「フェイジョンが懐かしくなるんじゃないですか?」と軽口を叩くと「味噌汁があれば大丈夫。やっぱり日本人だからね」とニコリ▼宮城県人会で開かれる青葉祭りでいつも元気に野菜を売る宮田隆之さん(68、同)は16歳で来伯。「小、中学校の友達と会いたい」と話しながらも「せっかく行かせてもらうんだから、何か持って行って、何かを持って帰らないとね」と日本人の生真面目さをチラリと垣間見せた▼旧知の知り合いながら、初の帰国とは知らなかった。グァタパラ移住地在住の吉永文子さん(59、長崎)の出身は、かつて炭鉱だった高島。60年代は3千人がいたというが、閉山してから観光地になっているという。「通った小学校は残っているかな。行ってみたいね」と笑顔。わずかな思い出と郷愁が形作ってきたそれぞれの日本。ブラジルに帰国したさい、その姿はどのように変わっているのだろうか。(剛)

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