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《リオ》貧民街で10人が死亡=デモ便乗の強盗と軍警衝突=BOPEが復讐の可能性も

ニッケイ新聞 2013年6月27日

 リオ市北部ボンスセッソ区で24、25日、学生デモに乗じて運転手や歩行者を襲った強盗を追い、貧民街に軍警特殊部隊(BOPE)が侵入して抗争が起き、死者10人、複数の負傷者が出た。26日エスタード、フォーリャ両紙などが報じた。
 24日に起きたデモには学生など150人が集まり、ブラジル大通りの一部を封鎖した。デモには軍警も同伴し、平和的なものだったが、夜になって複合貧民街マレーにあるファベーラ・ノーバ・オランダから出てきた一部集団がデモに乗じて連続強盗を働いた。
 デモ隊を監視していた軍警が犯行に気づき、BOPE出動を要請。ファベーラに逃げ込んだ強盗を追った軍警らは、ノーバ・オランダの麻薬密売者らと銃撃戦となり、BOPEの軍曹1人と35歳の住民1人が銃弾を受けて死亡した。
 BOPE100人以上の応援を受けた軍警は、仲間を殺害した犯人を捜して25日未明にファベーラに踏み込んで家宅捜索などを行ったが、この間も密売者らとの抗争が起き、最終的に10人が死亡、流れ弾に当たった住民らも出た。26日付G1サイトによると死者の内3人は事件には関係のない住民だったという。
 同ファベーラにあるNGO(非政府組織)関係者はフォーリャ紙の取材に、「地区全域が警官に占拠されまるで戦争状態だ」と述懐。無関係の住民が警官に拷問を受けた末、刃物で殺害されたとの証言もあるが、警察側は否定している。
 住民側は警察の侵入は違法だと言い、特殊部隊の副指揮官は攻撃に応戦しただけで、住民から通報があった容疑者の家を家宅捜査したと主張している。死者の内5人は密売者とされ、未成年1人を含む9人(エ紙は10人と報道)が捕まった。ピストルや手榴弾などの武器の他、マリファナ、コカイン、クラッキなどの麻薬が押収された。
 同ファベーラでは25日、流れ弾で変圧器が壊れて一部が停電となった他、九つの学校の授業が中止された。住民は同日も街頭に出、警察の行為に対する抗議のデモを行なっている。
 マレー地区の貧民街には15のファベーラが集まり、13万人が住んでいるが、二つの麻薬密売組織が全域を支配している状態だ。マレーはガレオン国際空港からマラカナンスタジアムのある市中心部へのルート上に位置するため、コンフェデ杯開幕以降、国家警備隊がパトロールを強化していた。エスタード紙によれば、平和駐留警察隊(UPP)を設置するため、8月には警備隊が派遣される予定だという。
 なお、各地でデモが相次ぐ中、それに乗じた強盗や窃盗などの犯罪が目立ってきており、軍警は警戒を強めている。

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