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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年7月18日

 「年々増える、孤老日本人」の見出しで身寄りのない高齢移民のニュースを報じた(7月13日付け7面)。非日系の施設にいる25人の費用を援協が負担しており、問い合わせも10年で約5倍になっているという。確かに、周りを見渡すと独り身の人は少なからずいる▼家族がいても頼れず、結局、病気などで身動きが取れなくなって、福祉施設に運び込まれてくる格好だ。戦後移民のピークだった1960年前後に20歳で来伯していれば、現在約70歳。これから10年で、さらに顕在化してくるだろう。援協の懸念材料であり、コロニア全体の問題ともいえそうだ▼ふと考えてみると、これはあくまで人的、経済的な話で、言語的孤老というのもあるのだろうと思いあたった。地方に取材に行くと、周りに日本人がおらずNHKが常に流れ家庭内の言葉はポ語、という状況がある。記者を大歓迎してくれ、息せき切って話す祖父(母)の姿を怪訝な様子で見つめる孫がいる▼そこそこの財産もあるのだろうし、家族と住んではいるのだがイメージとしては〃孤独〃である。ときおり出聖してくる知人も「周りは日系人ばかりだから、たまには本当の日本語で話したい」と冗談まじりに座敷に呼んでくれることもある▼大げさな例だが、人里離れた開拓で日本語を忘れてしまうことに恐怖を感じ、ジャングルで本を大声で音読していた人がいたと聞いた。非日系施設から援協に連絡があるのも、本人の希望か意思疎通の問題か、言葉の理由があるに違いない。社会とは言葉で繋がる。NHKは日本との紐帯という見方があるなら、邦字紙も一つのよすがでありたい。(剛)

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