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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年5月7日付け

 言葉というのは本当に使い方が難しい。特に《言葉の内容》と《立ち振る舞い》の関係だ。同じ人が日本語で言う場合と、ポ語を使う時は、別人のように身振り手振りが変わるのは良くある。例えば、移住者が電話している様子を見ていても、日本語ではそうでもないのに、ポ語で話している時は、まるで相手が目の前にいるかのように手振りを交えている場面に遭遇する▼相手が日本語を話す場合、日本人に接しているかのような態度をとってしまい、誤解を生じやすい。例えば、日系人の多くは、当然のことながらブラジル式の立ち振る舞いや考え方を身に付けており、日本語はしゃべるが、頭の中や感情表現はブラジル人に近い場合が多い。つまり、自分が日本語で日本式に言っても、彼らはブラジル式に理解し、そこに解釈の食い違いが生まれやすい。同じ日本語を別の意味として解釈しているわけだ▼相手が非日系人でポ語会話をするのであれば、普通はこちらからブラジル式になろうとする。でも、相手の顔が日本人と一緒で日本語でしゃべるとなると、自分がブラジル式になろうとせず、無意識のうちに相手に日本式であることを求めがちだ▼生活の節々で、それが原因で意思の疎通が失敗したと思うことがある。日系人と日本語でしゃべる場合も、非日系人にポ語でしゃべっているのと同じように語りかける意識が必要だと痛感する▼バイリンガルの人が日系人相手にしゃべる場合、使う単語自体もポ語を日本語にした翻訳調にすることがあるという。デカセギが日本で直面する日本人住民との問題の多くは、ここに起因するのかもしれない。(深)

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