ブラジル国内ニュース(アーカイブ)

ジウマ=60億レの議員割当を追加=100億レ予算削減だったが=議会での重要投票対策で=連立与党の今後の関係は?

ニッケイ新聞 2013年8月1日

 予算縮小に動いていたジウマ大統領が、連邦政府提案の重要案件を議会で承認させるため、年末までに計60億レアルの議員割当金を支出することを決めた。7月31日伯字紙が報じている。

 上院、下院は現在休暇中だが、来週からの審議再開を前にジウマ大統領は7月30日、10人の大臣と大統領官邸で会談を行い、8月に上下両院の議員に対し、20億レアルの議員割当金を支出することに決めた。同割当金は9月と11月にも20億レアルずつ追加され、年内に60億レアルが支払われる見込みだ。
 政府は6月にも20億レアルの資金を議員割当資金用に抑えていたが、実際には現時点まで支払われていなかった。ジウマ大統領は、国内総生産の2・3%の基礎的収支黒字という目標達成のため、7月に100億レアルの予算カット追加を発表したが、それが切り崩されることになる。
 また、ジウマ大統領は会談に参加した大臣たちに、議会での投票の際、各党が連邦政府に賛同するように根回しするよう頼んだ。これは、来週以降の議会で重要な案件審議が続くためだ。ジウマ政権ではこれまでも、森林法や石油のロイヤリティなどの重要案件が議会で覆されて来たが、今回の会談はそれを未然に防ぐため、政府内での連立与党の協力を確保する目的で行われた。
 会談に参加したのは、労働者党(PT)や民主運動党(PMDB)、進歩党(PP)、ブラジル共産党(PCdoB)、ブラジル社会党(PSB)の大臣や長官で、前日の29日には、イデーリ・サルヴァッチ調整担当長官が、正式には連立与党入りしていない社会民主党(PSD)にも協力を求めていた。
 来週からの審議で政府が敗北を懸念しているものの筆頭は、7月1日以降にジウマ大統領が裁可した法案での拒否権行使の可否についてで、10項目で拒否権を行使した、医師とその他の医療従事者の活動範囲を規定したアト・メジコや、不当解雇した企業が罰則として支払う10%の勤続期間保障基金(FGTS)の追徴金の支払い廃止などがある。
 また、6月の全国規模のデモを受けてジウマ大統領が発表した医療政策「マイス・メージコス」や、大統領がかねてから主張し続けている、石油のロイヤリティを教育関連資金に充てるよう求める法案に関する継続審議も予定されている。
 今回のジウマ大統領の動きに対し、アンドレ・ヴァルガス下院副議長(PT)は「連立与党の関係改善への第一歩だ」と評価した上で、「議員割当金は自治体への合法的な投資としても重要だが、払い出しの有無に関わらず、大統領は議会の声をもっと聞く必要がある。各プロジェクトについても、十分議論ができるよう前もって提示するべきだ」と語った。
 だが、PMDBの上院リーダーのエウニーシオ・オリヴェイラ氏は「政府と議会の関係をある程度円滑にはするが、今の国会議員の最大の関心は14年選挙で生き残れるかどうかだ」との評価を下している。

こちらの記事もどうぞ

Back to top button