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ニッケイ法律相談=その36=回答者 古賀アデマール弁護士

ニッケイ新聞 2013年8月14日

 質問=息子がある事故で亡くなりました。彼には生前、妻のほかにも女性がおりその人との間に小さな子供がいます。彼女から養育費を請求されているのですが、支払う必要があるのでしょうか。あるとすれば、どれくらいの金額になるのでしょうか。
 回答=
親族を養育する義務は優先的に直系親族に発生し、次に傍系(ただし兄弟に限る)となります。その子供の母親に経済力がないのなら、この場合は祖父であるあなたがその義務を負うことになります。たとえ妻以外の女性との間の子でも、生まれた子供に罪は無く、養育される権利は等しく有します。
 金額は、支払う側の経済力と、支払いを受ける側の必要性を鑑みて決められます。ただ、毎月の収入額の3分の1以上は請求できないことになっています。
 ちなみに、その子供は養育される権利だけでなく、財産の相続権も有します。
     ◎
 質問=妻と別居中の男性と長い間同棲していました。夫婦として法的に認めてもらいたいのですが、それは可能でしょうか。
 回答=
長年一緒に住めば、その男女の間に夫婦同様の権利が生まれますが、これをuniao estavel(5年以上継続している内縁関係)と呼びます。
 ただ、この場合は相手の男性が既婚者であるため、uniao estavelは生まれません。つまりあなたとの夫婦関係は法的に認められないのです。
 Uniao estavelが認められるのは、独身者、あるいは未亡人など、法的に結婚できる相手同士である場合だけです。
     ◎
 質問=未成年者(18歳未満)が無免許運転で乗っている車に衝突され、車に被害を受けました。親に修理代を請求したのですが、「知らない間に子供がやったことだから、関係ない」と言って取り合いません。乗っていた車は親の名義だったようですが、本当に親に責任はないのでしょうか。
 回答=
まず、民事的には車の持ち主である親に損害賠償を支払う義務があります。刑事的には、親が車の鍵を子供がすぐに見つけられるような場所に置いていたかどうかが焦点となります。
 置いていた場合は親に罪がありますが、見つけられないような場所にきちんと隠していたのに子供が見つけた場合は、刑事的には親にも子供にも罪は問われません。ただし、それは子供が未成年だからです。
 一般的に、こういった事故では、被害者は民事的には車の持ち主から損害賠償を取り立てる権利があり、刑事的には車の運転手に罪があります。

 質問の送り先はEメール(ademarkoga@gmail.com)、FAX(11・3208・0733)、手紙(「ニッケイ法律相談」係、Rua Galvao Bueno, 470, 1o. andar, Liberdade, Sao Paulo, SP CEP 01506-000)まで。質問は日本語でもポ語でも可、ただしメールの場合はポ語のみ。質問内容をできるだけ明確にしてお寄せください。

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