ホーム | 連載 | 2013年 | ざっくばらんに行こう!=ニッケイ新聞合併15周年記念座談会 | ざっくばらんに行こう!=ニッケイ新聞合併15周年記念座談会=(8)=最終走者の時代を迎えて

ざっくばらんに行こう!=ニッケイ新聞合併15周年記念座談会=(8)=最終走者の時代を迎えて

ニッケイ新聞 2013年9月7日

若松=60歳というと若いよね。本当若い。
吉田=でも今はもう60過ぎですら、一世はあまりいないよね。
深沢=コチア青年の一番若い人が、もう70ですから。60代の戦後移民っていうのは相当少ないです。戦後の子供移民ぐらいでしょうか。そうなると言葉が達者な人が多いから、駐在企業とかでいい仕事に就いているでしょうね。
若松=
まあ実際問題としてはやっぱり、研修記者は日本で金を払ってもらって、住むとこだけはこっちが負担する。そういう状態でしょ?
深沢=いやいや、とんでもない。日本で払ってくれる人とかいないですよ。少ないとはいえすべてこちらで負担です。
若松=
今は、日本政府からの援助は入ってないの?
深沢=ゼロです、ゼロ。
若松=
ブラジルに出てくる人たちに対する援助はない?
深沢=何もないです。国は一切関係ないです。
吉田=
それって昔の渡航費の貸付とか、そういう援助ってこと?
若松=えーっと技術指導だとかって、専門家の派遣枠があったでしょ?
深沢=あー、JICAの青年とかシニア・ボランティアとかですかね。
若松=
あれに入れなかったの?
深沢=入れなかったですねー、民間企業はダメだって。
吉田=
それに、日本政府のひも付きで記者が来るとね。総領事館や在外公館を叩けなくなるからね。
深沢=その辺も痛いですもんね。
若松=
あー、そっかー。
吉田=やはり、あらゆるものからフリーハンドでね、健筆を振るうと。
深沢=今は広告主からもフリーハンドですからね。書き放題です。タブーなき言論を掲げていた日本の雑誌『噂の真相』なみじゃないかとよく冗談にしているくらいですから(笑)
一同=はっはっは。
田中=でも、問題は邦字新聞の給料が安すぎることですよ。
深沢=ほんとそうですね。神田さんが生前、「コロニアの3大安月給企業には、必ず新聞社が入っていた」って自嘲していました。
田中=
初任給が800レアルとか1000でしょ? だから30歳とか40歳を募集しても無理じゃないかと思うんですよね。それでちょっと働くと1200になるとか。だけどそれ以上上げると、前からいた人の給料を上げないといけなくなる。だから抑えるわけ。1200で子供一人養って、生活できる訳ないですよ。家賃なんかも高いですしね、今は。
深沢=まあ、一家を支えるようなお金を稼げる職場じゃないですよ。
若松=
その辺が難しいよな。
深沢=人材の問題は本当に頭が痛いところで…。
吉田=
我々の時代はフリーハンドな非常に良い発行環境の中で仕事させてもらった。ただ、残念ながら枯渇してきたし、残っている一世世代はアンカー(最終走者)の世代なんですよね。
深沢=そうですよね。
吉田=
後から来る人がいないから、後から来る移住者に渡すわけにはいかんのですよね。我々がブラジル日系二世、三世に何を引き渡して、バトンを渡していくかという時代。我々がアンカーとしての自覚を持って、何を継承・伝承していくのか。そういう事柄をね、切実に考えなければいけない時期にきていると。新聞はそのことをいつも考えて、取り組んで欲しい。これは抽象的なことなんですけどね。どんな記事を書くに際しても、新聞が続く限り考えていって欲しいテーマではあるよね。
深沢=それで、まあなんとか100周年を越えるところまでは来たわけですけど。でも昔の新聞見ると愕然としますよね、全ページに渡って3分の1くらい広告で埋まっていますからね。いかにコロニアが活況を呈していたかが分かりますよね。
 今はブラジル在住の日本国籍者が5万人強しかいない時代ですから、世帯数で言えば2万5千世帯。全世帯が新聞を取ってくれる訳ではないですし、そこに2紙があって市場を奪い合っている。ニッケイ新聞がなんとか1万部を保ってこられたのは、合併したおかげかもしれません。
(つづく)



image_print

こちらの記事もどうぞ

  • ■訃報■神取忠さん2013年2月8日 ■訃報■神取忠さん ニッケイ新聞 2013年2月8日  コチア青年連絡協議会の元会長、神取忠さんが先月24日午後4時ごろ、多機能障害のため聖市SBC病院で逝去した。享年79。 […]
  • 移住者協会=USP日本庭園、再贈呈式=今後の継続的管理が課題に2018年7月3日 移住者協会=USP日本庭園、再贈呈式=今後の継続的管理が課題に  【既報関連】ブラジル・ニッポン移住者協会(杓田美代子会長)が修復作業を進めていたサンパウロ州立総合大学(USP)校内にある日本庭園の再贈呈式が、先月29日午前に催された。日系団体や大学関係者ら100人近くが出席した。  故・下元健吉氏が初代会長を務めたサンパウロ花卉 […]
  • ニッポン移住者協会=日本庭園修復、上棟式=6月にUSPへ再贈呈2018年5月9日 ニッポン移住者協会=日本庭園修復、上棟式=6月にUSPへ再贈呈  【既報関連】日本移民110周年記念事業の一つとして、ニッポン移住者協会(杓田美代子会長)が中心になってサンパウロ州立総合大学(USP)構内の日本庭園修復を進めている。その一環として先月5日に「棟門」が新設され、上棟式が行われた。  同庭園入口に建てられた棟門は、西川 […]
  • USP日本庭園=「200年に残る事業に」=移住者協会、資金協力呼びかけ2018年3月24日 USP日本庭園=「200年に残る事業に」=移住者協会、資金協力呼びかけ  【既報関連】ブラジル移民110周年記念事業の一つとして整備が進められる、サンパウロ州立総合大学(USP)構内にある日本庭園修復事業の資金協力をブラジル・ニッポン移住者協会(杓田美代子会長)が呼びかけている。  同庭園は、故・下元健吉氏が初代会長を務めたサンパウロ花卉 […]
  • USP日本庭園、整備進む=110周年で皇族ご訪問を熱望2018年1月9日 USP日本庭園、整備進む=110周年で皇族ご訪問を熱望  ブラジル・ニッポン移住者協会(杓田美代子会長)はサンパウロ州立総合大学(USP)構内にある日本庭園の整備を進めている。同庭園は、1967年に初来伯した皇太子同妃両殿下(現、今上天皇皇后両陛下)のご臨席のもとで開園。同協会は今年6月に庭木の剪定、池の修復作業を終える予定 […]