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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年10月2日

 9月29日のNHKの番組で、リーマンショック後に米国と中国が量的緩和を行った事で世界中の通貨量が増えた事と、米国連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長が5月に行った量的緩和縮小を匂わす発言でドルの逆流現象が起き始めた事を報じていた▼個々のニュースは情報という点を増やし、それを解析する中で線が出来るが、前記のような番組は、点と点をつないで線とし、その線を面にまで高めてくれる。そういう意味で、先の様な番組は自分なりの見方で解析して描いた線や面のゆがみや欠けを修正し、全体を俯瞰する形で考えを整理するにはもってこいだ▼もちろん、線を描き、面を作るには、相当な数の点が要る。点の数が不足したままで線を描くと荒くてガタガタの線しか引けないが、十分な数の点が集まれば滑らかな線や面が生まれてくるからだ▼かつて、日本の学生は詰め込み教育を受けているからマークシート式の入試には強いが、入学後に自分の持っている情報を基にした理論や論文をまとめるのは苦手と聞いた事がある。点を線にし、線を面にするための訓練が不足しているのだ▼点を線にし、線を面にする作業は、大学での論文や経済問題の解説だけの事ではない。翻訳をする時や人の話を聞く時も、背後にある出来事や思考の流れを知らないと、極めて難解、不可解なものになりかねないが、全体の流れや相手の生活様式、その人柄などを知っていると理解がグンと楽になる▼新しいスタッフには、出来るだけ幅広く情報を集めて10の中から1を書く位の気概をと言いたくなるのも、滑らかな線や面を描いて欲しいからだが、さて自分は?(み)

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