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住友ゴムがパラナで生産開始=アジア圏外初の工場設置=池田社長ほか4百人が祝う

ニッケイ新聞 2013年10月5日

 住友ゴムの中南米初の工場が遂に稼働—。パラナ州ファゼンダ・リオ・グランデ市に建設していた住友ゴム工業の中南米初の工場が完成し、今月3日、日本から池田育嗣社長(いくじ、香川)を迎えて、盛大に開所式が行われた。兵庫県神戸市に本社を置く住友ゴム工業は、タイヤ生産で世界第6位。日本、タイ、中国、インドネシアに工場を持ち、今回アジア圏外で初の工場設置となった。総投資額は7億5千万レアル、同工場はブラジル内市場のほか、中南米地域に向けた重要な輸出拠点になると期待される。

 50万平方メートルの敷地内に建設された工場の面積は、8万4565平方メートル。2012年1月27日に建設が開始され、今年の4月に完成、今月から本格的な生産を開始する。
 今年末までに日当たり2千本のタイヤ生産、2015年末までに日当たり1万5千本の生産を見込む。タイヤは日本と同じ品質に加えて、ブラジルの道路事情を考慮した耐久性が備えられるという。
 現在の従業員数は、約500人。そのうち、日系人従業員数は約80人で、日ポ両語が堪能な日系人が工場の立ち上げにも大きく貢献した。17年までにはさらに拡大し、1500人の直接雇用を見込んでいる。
 式典にはベット・リッシャ・パラナ州知事、マルシオ・ウォズニアク・ファゼンダ・リオ・グランデ市長、西森ルイス下院議員、内山美生在クリチーバ総領事ら関係者約400人が出席し、工場の稼働開始が祝われた。 兵庫県知事を代表し、楠見清ひょうご産業活性化センター理事長が出席。井戸敏三知事のメッセージを代読し、両国の発展を期待した。
 池田社長は「工場の設置には姉妹提携のある兵庫県、パラナ州から格別な支援があった」と感謝を示し、「グローバル戦略において極めて重要な拠点。新市場開拓に向けた成長エンジンとしたい」と強調。小田一平ブラジル住友ゴム工業社長(おだ、大阪)は「多くの雇用を生み出し、地元経済の活性化に寄与していきたい」と抱負を語った。
 ベット州知事は北パラナの日系社会で育った経験を伝え、「日本人、日系人の州への貢献に感謝。州民を代表してお礼を伝えたい」とあいさつした。

 南米の兵庫県人らも駆けつけ

 開所式に伴い、日本、パラグアイ、アルゼンチンからも兵庫県関係者の慶祝団が到着。パラグアイ兵庫県人会から出席した岸田省一会長(篠山市、ささやま、65)は「ブラジルに大きく貢献できる会社になってほしい。ブラジル以外の南米にも日本企業に進出してもらいたい」と、話していた。
 アルゼンチン野路菊会を代表する原リカルド元会長(二世、55)は、「住友ゴムは日本企業の代表であり、兵庫県企業の名誉。どうかブラジルで成功して欲しい」とお祝いのメッセージを伝えた。
 日本からも兵庫県、ひょうご産業活性化センターなどから10人が来伯した。

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