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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年10月12日

 2020年の東京五輪開幕式が7月24日となり、8月9日までの16日間の競技と決まったらしいが、これでは暑すぎてマラソンや陸上などの好記録は期待できないの批判が多い。日本では7月下旬から8月上旬は、最も暑い季節であり、今年の8月上旬も35度に達する日が続き、あまりの猛暑に都民らは悲鳴を上げたのはご承知の通りである。この点では先の64年五輪の方が正しい選択をしたと評価していい▼東京都やスポーツ団体の幹部らが協議した結果、お天気を考慮に入れて10月10日を開会式としたのは正論であり、日本の秋を満喫する素晴らしいオリンピックとなった。日本の選手たちも、毎日の厳しい練習の成果を遺憾なく発揮し金メダル16個を含む計29個のメダルを獲得し、国民らは拍手喝采の日々だった▼あの三宅義信は重量挙げで優勝し、68年のメキシコでも連覇の凄い記録を達成した。そして—自衛隊を退官するときに陸将補に抜擢されたときの喜びようは新聞も大きく報道し人口に膾炙した▼だが、日本中が沸いたのは、「東洋の魔女」が宿敵ソを破り金メダルに輝いたときだった。鬼と評された大松博文監督。そしてコーチ兼主将としチームを導いた中村(旧姓・河西)昌枝さん。あの必殺技「回転レシーブ」も午前2時までのコートから生まれたのであり、昌枝さんはいつも先頭に立ってボールと闘った。あのオリンピック優勝のときも独身。時の総理大臣・佐藤栄作氏が仲人になり結婚したが、バレーへの情熱は高く2020年の東京五輪への夢を追いながらの無念の死は哀しい。生涯80歳の人生だった。(遯)

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