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会議所月例昼食会=亜国産業庁元長官が講演=「近い将来の景気改善は困難」

ニッケイ新聞 2013年10月29日

 ブラジル日本商工会議所(藤井晋介会頭)の10月定例昼食会が11日、サンパウロ市のマクスード・プラザホテルで行われ、会員ら140人が参加した。元アルゼンチン産業・商業・鉱業庁長官で、コンサルティング会社「abeceb.com」のディレクターを務めるダンテ・シカ氏が「亜国情勢とその展望」をテーマに講演した。
 亜国における近年の経済動向を大きく三期に分け、「03〜07年の亜国経済は成長期を迎えた」とし、「08〜10年は過渡期となり、エネルギー消費が低迷しインフレが発生した。12〜15年は欠乏期。経済成長が乏しくインフレが進んだ」と情勢を説明。「外貨不足対策として貿易により解決を狙う必要がある。それがマクロ経済の回復にも繋がる」と展望を語った。
 資金が国外に流出し外貨赤字となっていることが問題だと訴え、「解決のためには外国市場に対し、より友好的な姿勢を示すべきで、国際関係の改善に向け審査、制限を緩和し、抜本的な経済体制を整えなければならない」と語った。マクロ経済の回復、貿易収支の改善、ハードよりもソフトの整備と、国際関係の改善については、特にブラジルとの関係の改善強化が必要だと訴えた。
 今後の展望については、近い将来にGDPの根本的な改善は見込まれないとしつつ、「20年後は穀物、バイオ燃料などのエネルギー、鉱物、観光事業の需要が高まり、亜国にとっては優位な状況となる。長期経済安定に繋がるだろう」と楽観した見方を示した。

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