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ニッケイ法律相談=その39=回答者 古賀アデマール弁護士

ニッケイ新聞 2013年11月19日

 質問=兄の構成家族としてブラジルに来た戦後移住者です。ともに農業に従事し、移住して8年経った頃に兄の名義で土地を買いました。ところが兄は酒に溺れて仕事をしなくなってしまい、私は独身だったので兄の妻や子供数人を私が面倒を見るようになりました。 その後兄の妻が、その礼に報いたいと言って土地の半分を私に譲ってくれました。名義は兄のままでした。その後私は土地を残して都市部に出て行ったのですが、その間に土地の全てが兄の妻と子供に相続されていました。やがて兄の妻が亡くなってその土地は子供のものになり、「土地の半分は自分が譲り受けたので土地代を払ってほしい」と兄の長男に頼んでいましたが、その長男が急死し、その後で自分に土地代を払うと言っていた兄も亡くなりました。
 ところがその後、日本語で書かれた兄の遺言書が見つかり、そこには「ソロカーバにある自分の土地を売って(私に)土地代を支払う」とあり、兄のサインもしてありました。ところが、兄の末娘の夫がブラジル人で、「土地代を払う必要はないし、日本語の遺言書は効力がない」と主張しています。このブラジル人の言い分は正しいのでしょうか。
 回答=
結論から言えば、残念ながらその遺言書は無効でしょう。遺言書というものを簡単に考えている人がいますが、法的に遺言書と認められるには、いくつか条件があるのです。
 まずは国語、つまりポルトガル語であることです。公証翻訳でも認められません。そして、遺言書を作ったときになされた、最低3人分の署名です。ちなみにこの3人は必ずしもブラジル人である必要はないですが、外国人でも、理解してサインしたと証明できるようポルトガル語がわかっている人でないといけません。
 個人で作る場合(testamento paticular)、役場で作る場合(testamento publico)の2種類ありますが、裁判になったときに効力があると認められやすくなるよう、なるべく登記所で作ることをお勧めします。
 さて、この場合ですが駄目もとでも裁判所に持ち込んでみてはどうでしょうか。ただし、最低でも3人の証人が必要です。

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