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還暦迎えた全伯川柳大会=〃ゴールのないマラソン〃走る=「足跡を歴史に刻み移民老い」

ニッケイ新聞 2013年12月24日

 ぶらじる川柳社(荒井花生主幹)は「第60回全伯川柳大会」を9月15日にブラジル日系熟年クラブ連合会の会館で行い、国際日本文化研究センターの細川周平教授も出席するなど、賑やかに同大会の〃還暦〃を祝った。
 荒井主幹は主催者あいさつで、「めでたい還暦を迎えることが出来たのは、川柳を愛する皆様の絶大な熱意の賜物である」と述べ、「人々に感動を与え、心を豊かにするような川柳を作り続け、〃ゴールのないマラソン〃を走り続けていただきたい」と切望した。
 09、11年にも出席した細川氏は感謝を示しつつ、これまでで印象的だった塩飽博柳さんの『眼にふれた物が句になる詩の道』を引き合いに出し、「実作しない者には、そんな視点をもって生きる毎日をうらやましく感じる。普通の人には見えてこない物を句にしてほしい」と期待を込めた。
 来賓として熟連の五十嵐司会長やブラジル日系文学の中田みちよ編集長も出席し、パラナ州からの6人を含め30人余りの柳人を集め、会場の熟連会館は熱気に満ちた楽しい一日となった(成績は以下の通り、敬称略)。
【事前投句】課題=長生き、足、自由吟 参加者63人、投句総数189句▼1位「足跡を歴史に刻み移民老い」(藤倉澄湖)▼2位「名刺など持たない証の分厚き手」(平谷伊佐)▼3位「生き生きと農地を守る太い足」(富松貴恵子)▼4位「生き甲斐を趣味に託して夢描く」(荒井花生)▼5位「長く生き迷惑かけずに終わりたい」(新井千里)。
 1位句鑑賞では「移民の苦労を見てきた人には感動的。句の奥に旧移民の歴史が一杯詰まっている」、2位句鑑賞では「ユニークな着想と感動を伝える確かな表現力は見事。下の句が『生き生きと』を更に引き立てている」。
【当日句】課題=内緒 投句者数32人、投句数64句▼1位「道ならぬ恋は内緒に胸に秘め」(坂口清子)▼2位「内緒よの耳打ちさらに尾鰭つき」(藤倉澄湖)▼3位「へそくりを内緒に貯めて役に立ち」(彭鄭美智)
【席題】課題=五輪、迷惑、走る▼1位「寄付集め迷惑そうな顔ばかり」(今立帰)▼2位「人生を走り続けて今日の幸」(谷沢和夫)▼3位「走っても走らなくても齢を取り」(今立帰)▼4位「感動の渦を五輪が巻き起こす」(荒井花生)▼5位「走り去る月日を掴む手がほしい」(大城戸節子)

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