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新年に両陛下のご健康を記念=皇族高齢化と健康維持話題に=年長の三笠宮さまは98歳

新年号

ニッケイ新聞 2014年1月1日
新年用御一家

新年用御一家(平成24年12月13日宮内庁撮影)【写真提供:宮内庁】

旧年の一月、宮内庁や皇室ジャーナリストは「天皇、皇后両陛下と高齢化が進む皇族方の健康維持が最大の課題」と指摘し話題になった。陛下が心臓を悪くし手術を受けられ、皇后さまも頸部がよくない症状などを踏まえての発言であり、常陸宮さま、華子妃殿下も既に古稀を越されている。

皇族で最年長の三笠宮さまは「三笠長老」の敬称もあり98歳である。百合子妃殿下も卆儒を迎えられたし、皇族方の老齢化は進む。今上陛下も80歳になり、美智子皇后さまも79歳の誕生日には、皇室記者からの質問に文書でお応えになり、東日本大震災や明治時代の憲法論議について語り、三笠宮さまと百合子妃殿下についても「今もお健やかにお過ごしのことが本当に心強く有難いことに思われます」と話されている。

皇太子だったころの陛下と美智子さまのテニスを通じての恋は今に語り継がれ、慶応大学塾長だった小泉信三氏の美智子さまへの帝王学の教授には、八百屋の親父さんもがびっくり仰天である。欧米のマスコミは美智子さまを「粉屋の娘さん」と囃し立てたのも懐かしい。

御所回廊にて(平成25年9月26日宮内庁撮影)【写真提供:宮内庁】

御所回廊にて(平成25年9月26日宮内庁撮影)【写真提供:宮内庁】

皇太子が平民とご結婚するのも初めてだったので国民の沸き方は物凄く、皇居を取り巻く堀も瞬く間に飛び越えて天皇陛下と皇族の方々も国民と親しくなるという嬉しいご成婚であった。皇太子殿下、秋篠宮さまも、陛下と同じように妃殿下を一般の市民から選ばれている。

恐らくーこうした流れは将来的にも強くなると見たい。皇太子妃の雅子さまは、体調が優れないご様子らしいが、愛子内親王もお元気だし、これからもご公務に励んでほしい。

秋篠宮さまは、大変な学問好きでニワトリの研究などでタイをよくご訪問されたり、紀子妃殿下も人文科学系の博士号を所持するほどの勉強家である。お二人には、眞子、佳子両内親王と悠仁親王のお子さまがおり、悠仁親王は皇位継承第3位である。皇太子、秋篠宮さまに次いで天皇陛下になるお方であり、一時話題になった女性天皇論などは早くも飛び散ったの印象が濃い。

現実的な話になるが、今の皇室典範は、皇位継承は男子に限られており愛子内親王が成人しても天皇位を継ぐ事はできない。悠仁さまは41年ぶりに皇室に誕生した男児であり、お世継ぎであるが、これは皇室の歴史を塗り替えるような出来事なのだ。

江戸時代の光格天皇以降、皇位は天皇である父から長男の皇太子に譲られてきたのだが、秋篠宮や悠仁さまに皇位が継承されると、直系の伝統は途切れてしまい、傍系から天皇がうまれることになる。つまり200数十年ぶりに皇位継承が変わるのであり、これまでの伝統は破れてしまい、これからの天皇継承は秋篠宮系になってしまうのである。これほどに悠仁さまの存在は重く大きいのである。秋篠宮、妃殿下のお望みもあり御茶ノ水小学校に入学されたのも皇族としては異例の選択であるし、東京大学へ進学させたいの意向も示されているそうだ。

さて、陛下が傘寿を迎えられたことは先に述べた通りであるが、これは2000年の歴史を誇る皇室では第2位の記録なのである。史実が確かな推古天皇以降で80歳になられたのは昭和天皇しかなく、今上陛下はこの喜びを噛み締めているに違いない。

陽成天皇(在位876~884)と後水尾天皇(在位1611~1629)も80歳になられたが、退位後であり、在位中に傘寿になられたのは、昭和天皇と今上陛下のお二人しかいなのである。

そして「三笠長老」を見逃すわけにはいかない。学習院から陸軍士官学校に進み「参謀・若杉」を名乗り、三笠宮と知る兵士は少なかったとされ、陸軍少佐まで昇進した。戦後は東大でオリエント史を学び、東京女子大学や青山学院大学などの教壇に立ち「宮様教授」として超人気であった。日本オリエント学会の会長や中近東センター総裁などを務めもした。三笠宮さまの「帝王と墓と民衆・オリエントのあけぼの」はベストセラーになり「日本のあけぼの・建国と紀元をめぐって」では、歴史学者らしい意見を堂々と主張し識者らから拍手の渦が巻き起こりもした。

そんな大学者でありながら浪花節が大好きであり、戦前の宮邸には数百枚のレコードがあり、お茶でも飲みながら広沢寅蔵の「清水次郎長伝記」などに耳を傾けていたのかも知れない。移民50年祭にもご臨席になったし「菊のカーテン」を使い始めたのも三笠宮さまだとされ、奈良円照寺門跡山本静山尼と双子と報じられたがお二人ともきっぱりと否定されたりもしている。高齢でもあり僧帽弁閉鎖不全で入退院しているが、皇室の長老として活躍なさっているのは頼もしい限りである。

宮さまの長男である故寛仁親王の第一長女・彬子女王さまも「日本美術」の専門家であり、オックスフォード大学博士課程を卒業し博士号を取得し、今も熱心に研究をしておられ、若い皇室の一人として活躍なさっておられるのはいかにも心強いかぎりであり、両陛下も53年ぶりのインド訪問から帰国と皇室は限りなく明るいのはなんとも素晴らしいことではないか。(遯)

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