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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2014年1月10日

 世界のどこの法治国家に、囚人が支配する刑務所があるのか。マラニョン州のペドリニャス刑務所の事態には度肝を抜かれた。囚人が中で勢力争いをし、昨年だけで60人も殺害し、約100人が逃亡した。もし漫画や小説で描いても、読者から「ありえない」と一笑されそうな筋書きだ▼法的には死刑がない国で、これだけ〃私刑〃が行われることの意味は何か。刑務所は元来、受刑者の性格や考え方を改善し、社会復帰させるための更生施設であるはずだ。でも現実には牢のボスが〃新人〃の妻や姉妹を性の餌食にし、税金で犯罪者を養成する〃学校〃にすり替わっている▼犯罪組織のボスはすでに捕まっているから、これ以上捕まることはない。むしろ彼らにとっては、敵対組織から国家が身を守ってくれる〃安全な隠れ家〃だ。権力が刑を科す場所を、罰せられる側が活用するという本末転倒が起きており、しかも為政者が長年放置してきた▼所内を統治し直すために、連邦政府が警察部隊を導入した途端、その処遇に怒った牢のボスが外にいる手下にバス放火を指示し、犠牲者が出た。彼らが支配しているのは「塀の外も」だと明示した▼そこまで放っておいたのはサルネイ元大統領の娘、ロゼアナ州知事だ。PT最大の同盟党PMDBのボスが支配する〃サルネイ帝国〃と揶揄される選挙区であり、近代化から取り残されたような風土を残すと指摘されている▼所の塀に電波障壁を設けて携帯通信を不可にする方策、携帯電話を持ち込ませない対策など、いつまでたってもできない。メンサロン受刑者もその一例だが「〃仲間〃が塀の中に居るからか」と邪推したくなる。(深)

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