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日本移植民の原点探る=レジストロ地方入植百周年 ◇戦後編◇ (109)=サッカーチーム創立に関わる=留学生世話して日伯交流促進

ニッケイ新聞 2014年1月23日
清丸清さん

清丸清さん

野球を青少年育成の柱にしてきた同地だが、プロサッカーチーム創立にも珍しく日系人が関係している。移民史上で最も有名な日系人創立のサッカーチームはパラナ州の「松原サッカークラブ」(Sociedade Esportiva Matsubara)とパラー州都ベレンで山田商会が創立した「山田クラブ」(Yamada Clube de Belem)だ。前者は1976年にパラナ州1部リーグ2位を記録し、後者は87年にパラー州1部で7位となった本格的なチームだ。

そして1952年の早い時期にRBBC会長に就任した二世リーダーの一人、清丸清(せいまる・きよし、二世)はレジストロの「コメルシアル」の創立者の一人だ。

1952年に清丸と結婚した妻の米子(第42回)は、「主人はなんとか1部リーグに上げたいっていつも一生懸命やっていた。家の生活より、あっちの方にお金を突っ込んでいた。主人はやりたいことをやったと思います」と思い出す。

夫婦とも1926年にレジストロで生まれた。米子は「夫は5部の田舎で育って、運動、特に野球が好きだった。仕事の後、毎日運動場に行くの。でも野球をするには人数が足りないという時に、近所のブラジル人を呼んで一緒にサッカーをやっていた。だから小さいころからサッカーになじんでいた」という。

子供の教育のために市街地へ出てきて聖市のセアザにバナナを運ぶ輸送業を始めたが、運転途中で瞬間的に居眠りをする危険に気づいて辞めた。73年にパステル屋を開業、昨年40周年を迎えた町最古の店となった。

米子は「店を開けた頃、野球はもう下火になっていたので、夫は『フッテボールなら』と初めは日系人を誘って試合をやっていたが、だんだんブラジル人の方が多くなって終いにはブラジル人中心になった」という。70年に伯国は世界初のサッカーW杯3回目優勝を果たし、絶頂期にあった。

米子の記憶では1975年頃に草サッカーチームが始まった。それが発展して「コメルシアル・スポーツ・クラブ」となり、創立者の一人となった。これが1986年にプロチームに昇格した。

『八十年史』(56頁)によれば、元々は紅茶とバナナの町だけに最初は「チャー・サッカーチーム」と名乗ったという。チームカラーは日本移民が開拓した土地だけに日章旗からとった赤白だ。ベレンの山田クラブも同様に赤白だから似ている。

初期には通称〃インジオ〃(マルコス・アウゴスト広田)選手、〃ダゴ〃ことダゴベルト・ビリス・隅田選手ら珍しく日系選手が活躍した。彼らの活躍でプロ第3部リーグに出場した。コリンチャンスの元監督ジリオンを招いたり、2部に昇格するまでになった。

「カズ」こと三浦知良が当地へサッカー修行にきたのは82年、その後、サッカー留学生が急増した。米子の記憶によれば「主人はそんなサッカー留学生を全部で20人以上世話しました。多かったのは1992、3年頃でしょうか、13人も一度に自宅で世話していたことがある。普通は2、3カ月だが長い人では6年間もいた」と振りかえる。

さらに米子は「最初にサッカー修行にきた青年は、東京から来た富樫英輝君でした。10カ月くらいコメルシアル・クラブにいてタウバテに行きました。弟の富樫ユキ君は大学生で1カ月間、南大河州のファホウピリャのチームへ主人が連れて行きました」とも。

監督としては佐藤ジョンが赴任するなど日系の貢献が目立つ。《清丸清現名誉会長の一番の目標はコメルシアル・クラブの名をプロサッカー界に定着させることで、現在の二部リーグでの十分な活躍の後は、一部リーグへの昇格を目指している》(同58頁)と熱い思いが書かれている。

でも昇格ならぬまま1993年、入植80周年でレジストロ文化協会を立ち上げた頃から、サッカーとは距離が生まれ、文協活動にまい進するようになり、リンパ癌で02年に亡くなった。(つづく、深沢正雪記者)

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