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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2014年1月31日

 「施設の社長は日系か、ブラジル人か?」。イトゥー市に建設中のサッカー日本代表宿泊施設の工事が遅延かとの話題を、日系建築専門家に振ったところ、まずそう聞かれた。「日系人です」と言うと「じゃあ5月中に完成させるのは難しいな」と即答した▼理由を問うと「3・11の時ですら日本では商店を略奪しなかったが、ここでは平時でもトラックが横転すると付近住民が群がって積荷を略奪する。『他人のものは自分のもの』が当たり前。でも日系人は普通、他人のものには手を出さない」と応えた▼それと工事がどう関係するのかと解説を乞うと「ここ数年来、好景気で作業員が大幅に不足中。しかも今は遅れに遅れたW杯用蹴球場や大型インフラ工事が大詰めで、政府にケツを叩かれた大手建設会社が作業員を無理やり集めている。そんな時期に作業員を集めて突貫工事をするのは至難の技」と答えた。積荷を奪う貧民からさらに奪い取るぐらいの無茶ができないと、この時期に大量の作業員を確保するのは難しいらしい▼日本サッカー協会は当地の総領事館に現地事情を聞くこともないとか。当地では発注主が現場に日参して工期遅れのケツを叩くことは多いが、サッカー協会にそんな人材はいないとも。未完成の状態で選手が無理やり宿泊させられれば、試合成績にも影響は必至か▼日本側は後から「日系社長だから信用したのに」と言い訳するかもしれないが、件の建築専門家は「この時期に、今から建設する施設を宿泊先にして『日系社長だから大丈夫』なんて信用するのは素人考え。当地事情が分かっていない証拠」と切り捨てた▼もちろん間に合う可能性もある。だが性悪説社会だけに「最低限の監視は義務」との話も。さて、どうなることやら…。(深)

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