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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2014年2月21日

 「ネンネン世代」が将来に暗い影を落としている。ブラジル紙13年12月1日付はこれを「将来を脅かす時限爆弾」と書いた。ポ語表記なら「nem, nem」世代(以下NN)で、人生のうちで最も重要な人格形成期の15~29歳にも関わらず「nem estudam(勉強せず), nem trabalham(働かず)」という世代のことだ▼昨年末のIBGE発表では960万人(11年)もおり、同年齢層の5人に1人がNNだ。NNの23・9%は北東伯に集中し、次は北伯の21・9%で貧困層に多い。彼らのうちで義務教育を未修了なのが32・4%もおり、高校卒業者は38・6%しかいない▼でもBRICsと呼ばれる前後の02年には20・2%もいたから実は0・6%減った。この当時は本当に仕事がなかったが、今は「仕事があってもやりたがらない」という質的変化が起きているようだ▼ある意味、この10年間の経済発展の裏返しだ。NNの70%は女性で家族と同居している。貧困家庭では10人家族のうちの一人、二人が働いて残り全員を食べさせるのは当たり前の風習であり、これがNNを可能にしている。NN女性の58・4%には一人以上の子供がいる。子供のいるNN女性の41%が「母親ではない」と申告しており、未婚のようだ▼若者が仕事や知的な刺激より、異性関係ばかりに関心を持つ。正規労働者が増えた豊かさの裏返しで、実は扶養される家族も増えた。そんな国民意識を向上心旺盛に変えるには、行政や政治が教育重視を徹底するしかないことは、みなが知っているが、実はそれが一番難しい…。本当は「ネン・ポリチコ(政治不在)世代」なのかも。(深)

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