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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2014年3月8日

 日本では、チェーン店でYシャツクリーニングが98円でできる。薬品臭くなるとの話も聞いたこともあるが安い。当地ではコラム子の知る限り、10レアル(400円)が一般的だろう。恥ずかしながら、あまり頻繁に出せる値段ではない▼先日、カーペットをクリーニングに出そうと思ったら100レアルと言われ、思わずひるんだ。初めてのことだし相場が分からない。とりあえず安くはないので、引き下がった。ブラジルは値段があってないようなもの。何軒か回ってみるに限る。暇なわけではないが、それくらいの時間はある▼自宅近くに日系人のやっているクリーニング屋があることをふと思い出した。いつも前を通るのだが、無骨そうな親父さんがカウンターにいるのを眺めるだけだ。入るなりあいさつをするも完全に無視される。愛想のいいブラジル人に囲まれていると、こういう日本的職人気質は不思議だ▼値段を聞いてもそれには答えず、注文書に「35レアル」と書き込んで渡してきた。態度に違和感があったが値段には異存はない。最後に「シミがあるんですが取れますかね?」と聞いたら、ものすごく鬱陶しそうに「あとで…見とく!」と押さえつけるように言われた。今や日本でも珍しい頑固ぶりだ▼数日後取りにいくと、いい仕上がり。改めて店内を見ると一人でやっている風だが、かなりの注文があるようだ。ブラジル人も、その仕事ぶりをしっかり見ているのだろう。言葉が必須ではないチントレーロといえば、かつて日本人の専売特許。深く納得した。机には文藝春秋が置いてあった。常連になり、天下国家を語りたいものだ。(剛)

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