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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2014年3月14日

 米国フォーブス誌の2014年版「世界長者番付」によると、資産10億ドル以上の億万長者は1645人いる。最も富豪が多いのは米国人で492人、世界の富がいかに米国の一部に集中しているかを如実に示すリストだ。次に中国人152人、ロシア人111人、ドイツ人85人、その次がなんとブラジル人65人で5番目だ。次が英国人47人、フランス人43人だ▼実は日本人は27人しかいない。ブラジルの半分以下だが、見方を変えればそれだけ格差が少ない社会といえる。逆にブラジルは昨年の46人から65人に急増した。世界第3位の経済大国より、7位のブラジルに金持ちが多い▼昨年『エポカ』誌7月号に「2050年までに世界の貧困者は30億人に増える」との記事が出た。国連発表によれば現在、世界人口70億人中の10億人が貧困状態にあり、90億人に達する2050年には貧困者が3倍になると予測される。つまり格差は拡大し続ける▼ただし、ブラジル内だけみれば、昨年10月に開始10周年を祝ったボウサ・ファミリア(以下BF)などの政策により、中流階級が大幅に増えた。同政策はブラジル人口の実に4分の1に当たる1380万家族(約5千万人)の貧困家庭に、国庫から毎年240億レアルを配っている▼4日付エスタード紙には「W杯まで100日」特集が組まれ、《W杯にかかる総経費は最終的に300億レアル》との予測も出た。つまりBFの1年分よりはるかに大きな金額な訳だ。ちなみにブラジル人一の億万長者(34位)のジョルジェ・レマン氏の資産額は約464億レアル、BFの2年分近い…。やはり長者増は単純に喜べない気がする。(深)

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