樹海

 今回のW杯で唯一嬉しかった事はアルゼンチンが負けた事―。13日夜の番組でのアナウンサーの発言を聞き、何と小さな器かと悲しくなった▼サッカーにおける伯国と亜国のライバル意識の強さは知っていたし、亜国優勝を嫌う人達がドイツを応援と発言したのも聞いていた。伯国代表チームがドイツに敗れた後、「マラドーナはペレより偉大」と歌う人々とマラドーナ本人が一緒に居る映像も見たし、亜国対オランダの試合前の新聞には「亜国以外の国ならどこが勝ってもよい」との表現もあった▼だが、米州大陸での大会は常に地元勢が優勝してきたし、亜国は隣国だ。それに欧州勢は10回優勝しているが南米勢の優勝は9回のみだ。亜国を応援していた人々には、最後まで頑張った両チームを褒め称えるべき時に聞いた、昔ながらのライバル意識だけに囚われたアナウンサーの冒頭の発言は悲しい現実だったのではないだろうか▼今大会7試合目となり、疲れや痛みと戦いながら120分間競い合った選手達。メッシが左足に手を伸ばした様子などからは、自国の名誉のために限界と戦いながらプレーする重さが伝わって来る。負傷後もプレーし続けたドイツの選手も然りだ▼完膚なきまでに伯国を叩いたドイツを打ち負かして欲しくて亜国を応援した人もいる。亜国優勝なら間接的に亜国に負けた事になると考えてドイツを応援した人もいる。ドイツでは選手達が凱旋パレードを行う15日まではお祭り騒ぎが続く筈だが、亜国では伯国敗退時と同様、破壊行為や商店襲撃が起きた。似たもの同士のライバル意識が先の発言に繋がったといえばそれまでだが、もっと大きな視点が欲しい。(み)

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