ホーム | 日系社会ニュース | ブラジルの新薬審査支援へ=安倍首相来伯時に表明の方針=外国にノウハウ提供は初めて
ニュージーランドを訪問した時の安倍首相と昭恵夫人=6日(共同)
ニュージーランドを訪問した時の安倍首相と昭恵夫人=6日(共同)

ブラジルの新薬審査支援へ=安倍首相来伯時に表明の方針=外国にノウハウ提供は初めて

 【共同】中南米を訪問する安倍晋三首相は、ブラジルのルセフ大統領との8月1日の会談で、同国での新薬の安全審査手続きを迅速化するため、日本のノウハウ提供を表明する方針を固めた。薬事行政の専門家を派遣し、日本の審査当局が蓄積したデータを提供する見通し。政府筋が23日、明らかにした。審査期間を短縮することでブラジルでの医薬品販売を促し、日本からの輸出増を図る狙いだ。
 安倍政権は、成長戦略の一環として「健康・医療戦略」を策定したばかり。海外展開を目指す国内の医療関連企業と連携し、高水準の医療機器、医薬品などの新興国でのシェア拡大を目指している。ブラジルに照準を合わせたのは、高い経済成長で需要が見込める上、日系人医師が多く、日本企業が進出しやすい環境が整っているため。日本が他国に新薬審査のノウハウを提供するのは初めてで、首相訪問時にブラジルと医療分野の協力覚書を締結する方針だ。
 関係者によると、安全審査は、患者への治験を終えた新薬が最終承認を得るために必要な手続き。日本では4〜13カ月で済むが、ブラジルでは21〜30カ月もかかる。
 日本は、ブラジルの担当者の知識不足が一因と分析し、新薬審査を担当する独立行政法人の専門家を派遣してノウハウを伝授。独立行政法人が蓄積した審査データも提供する。ブラジル側がそれを利用することで、審査での手間が省け、期間を短縮できる。両政府は年内に、審査迅速化に向けた共同計画を策定する。
 首相はブラジル滞在中、医療協力をテーマに演説する方向だ。日本の貢献で審査期間短縮が実現すれば、ブラジル国民がより早く医療の恩恵を受けられると強調する。

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