樹海

 南大河州の裁判所で13日、同性愛者1組を含む29組の合同結婚式が行われた。13日付2面にある放火事件後に会場が急に変更されたものだ▼コラム子の日記帳には友人や知人の結婚記念日や召天日、誕生日などが書き込んである。3日に54回目の結婚記念日を迎えた夫妻には子供が3人、孫も3人▼その一方、身近な所には交際開始から1年弱で子供が生まれる青年カップルも。我が家の息子は、その二人を見て「その内に喧嘩ばかりするようになるぞ」と呟いたが、夫婦喧嘩にはお互いを理解するのに役立つ喧嘩と、別離に至る喧嘩がある。まるで違う家族や環境の中で暮らしてきた二人が、同じ屋根の下で暮らせば、物の見方や考え方が違って喧嘩となるのはある意味で当たり前だ▼「結婚は二つの岩が互いの角を削り取りながら互いに接する面を広げていくようなものだ」と書いた本を読んだ事がある。互いに角がある岩を密着させようとしても、角と角がぶつかるだけで密着できる面はないが、ぶつかったりこすれたりするうちに角が取れ、密着できる面が徐々に広がる▼この面が広がれば、腕の良い大工が鉋をかけた板が水一滴で密着してしまうように、簡単にははがれない一枚板となるが、密着面を作る作業を嫌えば離婚もありだ。お互いに違うからこそ多様性が生じ、異なった見方も生まれる。自分の考えが唯一、絶対だと思えば争いが生じ、相手の意見を尊重すれば調和や新しい展開が生まれる▼50年以上寄り添った妻を96年9月8日に亡くした男性は、翌年の七夕に死亡。親族達は(あの年は)晴れていたからその日の内に奥さんに会えた筈だと語り合った事だった。(み)

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