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佐賀大の山本教授が来伯=武藤山治研究で北伯訪問

 1929年に開始したアマゾン入植を計画した南米拓殖株式会社創立に尽力した武藤山治(鐘淵紡績社長)を研究する佐賀大学経済学部の山本長次教授(52、神奈川)が、9月18日から27日まで来伯し、べレン、トメアスー、サンパウロ市を訪れて調査を行った。
 専門は企業者史を中心とした経営史。武藤の研究歴は25年に及ぶが、来伯は初めて。19日夜にべレンで行われた「アマゾン移民85周年式典」に出席し、20日からトメアスーも訪れた。同地在住の戦後移民・角田修司さん、第一回移民の山田元さんに開拓初期からその後の歴史を聞いたほか、森林農法を営む高松寿彦さんや小長野道則さんも調査し、トメアスーの歴史的現場、現状を聞き取った。
 23日に本紙を訪れた山本教授は、「事実の確認が目的だったが、実際に訪れてみて現場を知ることができた。現地在住の方に詳しい話が聞けてよかった」と充実感をにじませた。また、戦前移民が到着したべレンの港にも足を運び、「南拓の拠点の場所が確認できた」という。
 今年から3年間、科学研究費助成事業として「日本企業の対伯直接投資に関する経営史研究―鐘紡の事例を中心に―」と題した研究を行っており、来年以降も年1回ブラジルを訪れたいという。「日伯交流の歴史を、今後の両国の発展にも活かして欲しい」と話した。

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