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ブラジルの平均賃金を超える中国の勢いと影響

 14年12月6日付エスタード紙に「中国人の給与はブラジル人を超える」との記事が出た。安くて大量の労働力が売りだった中国だが、96年に498元だった平均給与が4200元(613ドル)まで上昇。この調子で上がれば、16年までにブラジルを超えるのは確実との内容だ▼同月20日に武蔵大学(東京)が開催したシンポ「東アジアにおける人の移動と相互理解の深化」(私立大学戦略的研究基盤形成支援事業)に招へいされ、中国の変化を実感した。特に中国人力資源和社会保障部労働科学研究所の李天国主任研究員の発表は衝撃的だった。12年は前年比で労働人口が345万人減少とし、「減少が始まったのは02年で、一人っ子政策が開始した1982年からちょうど20年後。その世代が子供を産み始める時期だった」と解説した▼李さんは「政府は政策的に最低賃金を04年から毎年平均13%上昇させてきた」とし、一番高い上海などの沿海部から、安い労働力を求めて工場が内陸部やベトナム、ミャンマーなどへ大挙移動中と指摘した▼中国政府の大学入学枠急増政策で、大卒者が大衆化して就職難に直面中とも。つまり、労働力が激減する中、賃金が高騰、大卒者が激増して、工場で最も必要とされる単純労働者が激減し、取り合いが激化している▼そのあおりで日本の技能実習制度への希望者が激減したとも。中国国内で日本と同額が稼げるようになって訪日メリットが薄れ、「研修生ビジネスが難しくなっている」と報告した。風が吹けば桶屋が儲かる―ではないが、東京五輪を控えた日本で中国人実習生が激減すれば、ブラジル人デカセギ需要は増加しそう?!(深)

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