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大アマゾンで生命の浄化?

 取材のため、アマゾン河口の町ベレンを訪れた。飛行機で3時間半、日本人の感覚からすれば外国旅行並みの距離感だ。機内から滑走路に降りるとムッとした熱帯の空気がまとわりつく。太陽が顔を出すと、まるで炙られている気分だ。人口140万人の大都市だが、生命を育む大アマゾンのパワーに満ちている▼朝の涼しい内にヴェル・オ・ペーゾ市場を訪れた。聞いたこともない果物のスッコを飲みほし、魚のフライと絞りたてのアサイーで朝食を取る。小さな屋台が所狭しと並ぶ中、よく肥えたブラジル人が馴れた手つきで取れたての鯰をさばき、酢と塩で下味をつけ、小麦粉をはたいて揚げてくれる。じつに単純な調理法なのに、素材が新鮮なせいか贅沢すぎる旨さである▼普段は砂のように味気ないファロッファも、雹のような大振りの粒が混じったガリガリと歯ごたえのあるもの(Farinha d´água)や、バターで炒めて塩やハーブで味付けした温かみがあるものなど、なんとも言えない味わいがあり、夢中で食べた▼やはりその土地で採れたものを、新鮮なうちに調理して食べるのが一番―と改めて思った。とはいえ、この手の特産品は「お土産に」と買っても、持ち帰ると、魔法が解けたように魅力が失われていることは少なくない▼見て、聞いて、匂って、触って、味わって、五感で目一杯吸収してこその旅行だが、食い意地が張っているせいか、結局は食べ物のことばかりが記憶に残る▼さて、帰聖直後、同僚から「目が輝いている」と言われて喜んだ翌日、原因不明の高熱にうなされた。大アマゾンの強烈な浄化力は、慣れない者には強烈すぎるのかも。(阿)

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