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好きな日本食は…?

 一昨年、日本食が世界無形文化遺産に登録された。四季の移ろいを大事にし、自然に恵みを最大に活かしながら、地域ごとに多様な食文化。一汁三菜というバランスを持った健康食としても評価された―というのが理由。現在開催中のイタリア・ミラノの万博でも和食をアピール、各自治体もお国の幸の宣伝に余念がないとか▼そんなおり、某メーカーが日本に住む外国人に日本食に関するアンケートを行った。自分の国の人に薦めたい日本食を聞くと、なんと1位が「ラーメン」(77%)になったという。確かに前出の要素が盛り込まれているといえるし、各地の特産物を使ったラーメンもそれぞれにある。だが世界文化遺産として日本が売り出そうとしているものとは方向性が違うような気がする。それも含めて、「多様性」なのだろうが▼2位「すし・刺身」(73%)、3位「てんぷら」(67%)は、すでに世界的に知れ渡っている。これから味を覚えた外国人がラーメン文化を広げていくだろう。アメリカやヨーロッパ、アジアではすでに花開いており、ブラジルは、つぼみがチラホラといったか感じか。目を転じて、日本人が日本で伝えたいブラジル料理はなんなのだろうか。シュラスコはブームのようで東京などでは予約も取れない状態だという▼長くこちらにいる人は別の意見があるだろうが、数年の人に聞くと、コシンニャやムケッカの名前が挙がってくる。いわゆる有名どころのフェイジョアーダは好き嫌いが分かれるだろうが、確かに日本人の多くに受ける味と材料と言っていいだろう。とはいえ、日本で懐かしくはならない。歳のせいか、ブラジル料理を食べる回数が減っていくし、寒いこの時期、恋しいのはラーメン。季節と結びつくところはやはり和食なのだろう。(剛)

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