ホーム | 文芸 | 読者寄稿 | 祖父と御嶽山=サンパウロ 新井知里

祖父と御嶽山=サンパウロ 新井知里

 昨年、突然大きな噴火をして日本中を驚かせた御嶽山。長野県生まれの私は、特別大きなショックを受け、すぐ懐かしい母方のおじいちゃんを思い出した。
 祖父は、長野県飯田市の繁華街に広い自転車店を持っていた。住み込みの従業員6人ほどいて、いつも賑わっていた。飯田市が桜の咲く頃に大火となり、町中焼けてしまうまでは、大きな蔵のある街では成功者だった。
 その祖父が明治の頃、名古屋に行き自転車を1台持って帰って来た。そして1回の乗り賃を取り、自転車を流行らせたことは何度も聞いた話である。
 祖父が若い頃、友人と一緒に御嶽山に登った。寒い頃で、山の家で火鉢を頼んだ。そうしたとき、神の山と思っていたイメージが吹っ飛ぶ出来事に出会った。
「チサト、よく聞くんだよ。お金を出した俺だけに火鉢が出てきて、友人には持って来なかった。お金をバカにしてはいけないよ」
 何度もおじいちゃんは私にそんな話をしてくれた。
 私はこのブラジルに一人で渡り、祖父の話を大切に思い出して暮らしている。
 日本の東京では、日本一高いというスカイツリーを作ったり、東北震災の事後の処理が遅々としているのに、首相は何億ドルというお金を他の国に送ったりしている。

image_print

こちらの記事もどうぞ

  • 薬草・健康=サンパウロ 吉野功努雄2016年10月26日 薬草・健康=サンパウロ 吉野功努雄  今日では薬草や野菜類が健康に良いと、ブラジルの雑誌などにも沢山書かれており、非日系人の間にもだんだん知られ普及してきたようです。  この薬草ですが、誰にでも効くものと、人によっては効かないものがあるようです。自分に合わないと思ったら、色々試して合うものを見つける必要があると […]
  • イグアスーの滝、2人旅(2)=サンパウロ 平間浩二2016年6月16日 イグアスーの滝、2人旅(2)=サンパウロ 平間浩二  暫く走ってから比較的大きなカーブに差し掛かった時、船長は突然、急カーブを切った。あわや転覆するのでは・・・と驚愕した瞬間、今度は全員が波しぶきを全身に浴び悲鳴を上げた。 船長は2、3度この恐怖のサービスを繰り返した。いよいよ滝の下に近づくにつれ、徐々に滝しぶきが強くなってきた […]
  • 「拝啓、Aさんお元気ですか?」=ジアデマ 松村滋樹2016年8月19日 「拝啓、Aさんお元気ですか?」=ジアデマ 松村滋樹  ブラジル事情に詳しくて、いつも新聞や実業雑誌に投稿されていたAさん。街でお会いすると、いつも向こうから声を掛けて来られ「元気ですか」と挨拶される。私の人生の師であった。 […]
  • イグァスーの滝、2人旅(1)=サンパウロ 平間浩二2016年6月8日 イグァスーの滝、2人旅(1)=サンパウロ 平間浩二  カルナバルが終り、その週の日曜日(2月14日)に2人でイグァスの滝を見に行くことにした。私は一度会社の旅行で行っているが、家内と一緒に行くのは今回が初めてである。旅行社は『CVC』で、全国的なネットワークを持つ格安の有名大手旅行社である。「カルナバル済て2人の旅路かな」 集合 […]
  • 2世第1号の人=ジアデマ 松村滋樹2016年6月8日 2世第1号の人=ジアデマ 松村滋樹  珍しく早起きして、ソファで血圧を計っていると電話がなった。早朝に電話がなるのはお葬式の話と決まっているので、恐る恐る受話器を取る。「オレオレ。未だ寝てた?」アチバイアのMさんだった。 「聞いて驚くなー」人をビックリさせるあの独特の抑揚。同船者で病気の人って誰だっけ?それとも元 […]