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月千円で家が買える夢のような制度

ミニャ・カーザ・ミニャ・ビーダ(MCMV)政策で提供された集合住宅(Foto: Shana Reis/GERJ)

ミニャ・カーザ・ミニャ・ビーダ(MCMV)政策で提供された集合住宅(Foto: Shana Reis/GERJ)

 ジウマ政権の貧困者向けばら蒔き政策(半分、選挙対策とも揶揄されている)の最たるものが、貧困者に最低限の生活費を保証するボウサ・ファミリア(BF)、同層に大衆向け住宅を安価提供するミニャ・カーザ・ミニャ・ビーダ(MCMV)、同層子弟に大学奨学金を低利で補助するFIESの3点セットだろう。だから緊縮財政になった途端、その全部に問題が生じている▼貧困層からの絶大な支持を得ているBF政策への政府支払いが遅れるなど、選挙前には考えられなかった。抗議運動再燃に直結しそうなFIES枠削減しかり▼RedeTV6月1日付電子版によれば、MCMVでも「最下層向け住宅の支払いが90日以上遅れている人が21・8%に達した(1年前は17・5%)」。BF支払いが停滞した連鎖かもしれない▼この最低層(月収1600レアル以下)の場合、月25(約1千円)~80レを10年間、連邦貯蓄銀行Caixaに払うと自分の持家になる。25レアルなら1年で300レ、10年でも3千レにしかならず「不動産価格の5%程度」だ▼月々25レで家が買える政策自体が驚きだが、それすら払えない国民が5人に一人以上いる現状は何なのか。同記事には「損害が発生した場合、融資担当のCaixaが責任を負う」とあるが、それ以前に、住宅建設費の95%が公的資金だ▼日本のバブル崩壊の発端は個人住宅ローン大手「住専」が抱えた大量の不良債権だった。08年の米国のリーマンショックでも連邦準備制度理事会が不良債権化した莫大な住宅ローンを買い取った。MCMVがブラジル版バブル崩壊の端緒にならないことを切に祈る。(深)

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