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急上昇する「デカセギ指数」

 日伯間には「デカセギ指数」(以下、D指数)という経済指標があってもいい。10年ほど前、来伯した日本経済新聞記者から「デカセギ求人広告が急増した業種や地域に密かに注目している。数カ月後にその工場の生産が上がるからだ。中短期動向が予想できる」との話を聞き、D指数を意識し始めた▼3月以来、当地マスコミでは訪日労働者増との報道をよく見る。その原因は、日本法務省の出入国管理統計の3月で、ブラジル籍者の出国4628人を入国5983人が超えたからだ。08年暮れの金融危機以来、ずっと日本から出国する方が多かったのに逆転した。先日のフォーリャ紙120周年特集号でもその件がトップ記事だった▼昨年12月現在の在日ブラジル人数は17万5410人だったが、この入超傾向が続けば再び増加に転じるだろう。でも翌4月には出国7218人、入国6408人と再び出超に戻った。今後の動向を見ないと在日ブラジル人減少が底を打ったとは断言できない▼とはいえ、一昨年に訪日ビザを取得したブラジル人は2万8697人、昨年は3万4217人と2割増。昨年からブラジルは不況が深刻化し、逆に日本では東京五輪を見据えて求人増加傾向だ。両国側でこの条件がそろわないとD指数は高まらない▼経済プラン失敗でデカセギブームを引き起こしたコーロル大統領が弾劾された直前(92年)とほぼ同じ水準までジウマ大統領の支持率が落ち、中銀は今年のインフレ率9%、経済成長率マイナス1・1%との予測を発表し「1990年以来で最悪」と報道された。奇しくも訪日就労が激増しブームになった年だ。どうやらブラジル側は〃準備万端〃のようだ。(深)

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