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講演中の久知良厚労省
講演中の久知良厚労省

CIATEコラボラドーレス会議=デカセギ開始30年を記念=経済は復調でも就職難!?=厚労省課長が対応語る

 CIATE(国外就労情報援護センター、二宮正人理事長)主催で17、18の両日、聖市内ホテルで「2015年度CIATEコラボラドーレス会議」を開催した。外交120周年事業の一環、またデカセギ開始30年記念。テーマは「120年の外交関係と30年のデカセギ現象がもたらした日伯両国における文化の多様性」。日本政府関係者、法学者、元デカセギ等、様々な見地からの講演が行われた。

 久知良俊二厚生労働省外国人雇用対策課長は「最近の日系人の雇用情勢と政府の施策について」と題して、近年の外国人労働者を取り巻く状況を説明。
 日本の8月の有効求人倍率が「1.23」と08年リーマンショック以前より高数値であることを紹介。しかし一方で、「日系人求職者は就職に苦戦している」とし、3割を超える高い離職率を示した。その背景にあるのが「日本語能力の不足」と指摘。
 企業の求める日本語能力と実際に日系人が持つものにギャップがあることを説明。求人側の過半数が「漢字を読むことができる」ことを求めているが、実際にその能力を有するのは3割程度だとした。
 この状況に対し政府は外国人雇用の改善を目的に「ハローワークへの通訳員の増員」、「日本語能力の向上支援」、都道府県と協力した「外国人に配慮した職業訓練機会の確保」を行っていることを紹介。
 具体例として「外国人就労定着研修」を挙げ、事業を拡張した今年度は80地域、4000人の受講生を迎え、日常会話から専門分野に用いる日本語までのコースを用意したことを報告した。
 和田肇名古屋大学大学院教授が自身の専門である労働法の観点から、在日外国人労働者が抱える問題について語った。
 社会保険未加入者が多いことやデカセギ子弟の教育問題について指摘。こういった背景に日本が外国人とのつながりが少なく、「社会的統合」への準備ができていないためだとした。
 デカセギ側にとっては「恐れるべきは法律を知らないこと」と警告、行政からの「知識の提供が必要」と訴えた。
 デカセギ経験者の講演も行われた。ダイソーブラジル勤務のレジナウド・コンサルベス・パウリスタ氏は20年近くに工場などに勤務、管理職も経験した。
 帰伯後、同社に入社。「日本での経験がプラスになった」と話すように、デカセギ経験をキャリアに活かす例もあることを示した。
 また田中克之海外日系人協会理事長は今月末から行われる海外日系人大会を中心した活動を紹介。尾崎正利青森中央学院大学教授も講演を行った。


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 和田肇教授は講演中、日本は外国人の単純労働を禁止しているのにも関わらず、日系人を例外的に受け入れた歴史を紹介し、「制度の準備が追いついていなかった」と問題点を指摘。二宮正人理事長も補足するように「当時、日本政府は日系人を日本人だと認識していた」と政府の見誤りを振り返った。そんな中、ロイター通信が「外国人単純労働者受け入れを76%の企業が支持」との調査結果を報じたが、「移民より女性と高齢者の活用を」との安倍首相の発言もある。これからの在日ブラジル人の就労事情が気になる。

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