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命がけで守られた命の重さ

 今年のクリスマス商戦は人出が少なく、消費者の財布の紐の固さは想像以上だったようだ。家々の飾りつけも例年より少なく、景気の悪さが感じられる▼だが、ラヴァ・ジャット作戦の報奨付供述者を含む刑務所収監者が年末年始を家族と共に過ごすために出所など、日本では考えられないようなクリスマスプレゼントもある。医療機関の〃麻痺〃も起きたリオ州の病院に薬などが届く様子を伝える記事にも「贈り物」の言葉が躍っていた▼クリスマスの贈り物は、神の子イエス・キリストが人々の罪を赦すための神からの贈り物として生まれた事を記念し、愛の証として交わすようになったものだ。キリストはその後、人々の罪の身代わりとして命を捧げ、贈り物としての真意を示した▼自分の命を賭けて人々を救った例としては、1909年に北海道で起きた列車事故で、線路上に身を投じ、暴走する列車を止めた鉄道院(国鉄の前身)職員の長野政雄氏(三浦綾子氏の『塩狩峠』のモデル)などが有名だ。長崎県打坂峠でも1947年、エンジンが故障し、坂を下り始めたバスの車掌が身を挺してバスを止めたという話がある▼だが、身を挺して他者を守る話は身近な所でも起きている。一番新しい例は大聖市圏イタペセリカ・ダ・セーラで26日の夜起きた土砂崩れで、47歳の祖母がとっさに胸に抱いた1歳8カ月の孫は無傷で救出された。祖母は携帯電話で親戚と連絡を取り、埋まっている場所なども知らせたが、最終的には帰らぬ人となった。家は全壊、祖母は他界したが孫は無傷との話に、「あとあとまで残るのは自分達が得たものではなく、与えたもの」との言葉も思い出した。(み)

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