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ついに1ドル=4レアル時代?!(Foto: Rafael Neddermeyer/Fotos Públicas)
ついに1ドル=4レアル時代?!(Foto: Rafael Neddermeyer/Fotos Públicas)

〃利回り20%〃のブラジル国債の意味

ブラジル政府が運営するテゾウロ・ジレットのサイト

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 《最終利回り20% ブラジルレアル建債券》(約10年債)という日本の証券会社からの広告メールが届き、こうやって我々の税金は先進国に吸い上げられているのかと、ため息がもれた。ちなみに「日本国債10年もの」なら年利回りは0・282%ていど。なんと71分の1だ。逆にいえば、ブラジル国債は日本の71倍の利子を払わないと買う人がいない〃危ない商品〃だ▼レヴィ財相が辞意を表明し、バルボーザ新財相が指名された18日には株式市場が落ち、為替相場も対ドルで4レアルを超えて、金融市場側の不安感をビンビン伝えた。この直後の21日、「ブラジルCDS」(国の債務不履行に備える保険商品)も522を記録した▼CDSが500を超えたのは9月28日以来の2回目。あの時は過去最悪の539だった。その直前の24日、中央銀行が15年の国内総生産(GDP)の成長見通しを、6月発表時のマイナス(-)1・1%から、-2・7%へと大幅に下方修正した。現在はさらに悪い-3・5%だ▼新蔵相が就任会見で「〃今まで通り〃の財政改革を進める」と宣言したことで市場が落胆した。「今まで通り」なら希望はない―との反応だ。下院の政府リーダー、ギマランエス下議(PT)は新蔵相の援護射撃のつもりか、「ブラジルにはもっと強力な国策が必要。市場の反応は気にしない」と強気の発言をした。それを聞き、新年はまさに〃現在の延長〃でさらに経済不安が増す―との悲しい確信を得た▼ギマランエス下議は《少しぐらい公債が増えても問題にならない》と繰り返すが、冒頭の広告の様な先進国で販売されている伯国国債の利子は、我々の税金から払われている。しかも国債を含めた債務総額は06年来で最悪の数字「新年早々に国内総生産(PIB)の70%を超える」との予測が27日付エスタード紙に報じられていた。加えて年明けの通貨政策委員会では、もっと基本金利を上げる基調だとか。つまり借金の金額も金利も最悪だ。その巨額の利息は、受け取る側には美味しいが、払う側にはとんでもない重荷だ▼この高インフレ、高金利の流れを受けて、伯国内でもテゾウロ・ジレット(Tesouro Direto=連邦政府が運営する誰でも国債売買できるシステム=TD)を使った国債購入者が激増していると聞く。インフレが10%を超えた今、利子が8%程度のポウパンサでは目減りする一方だ。インフレ以上の利子をつける金融商品は、富裕層向けのごく限定的なものしかなく、一般人には縁がない▼そんな中、30レアルから始められるTDに購入者が殺到するのも無理はない。TDのSelicなら年利14・25%保証だし、同IPCAなどは「公式インフレ率+ほぼ7%(※変動する)」の利子がつく。もとは我々の税金であるこの利子を、先進国の投資家に〃献上〃するばかりではノウがない。自分が払った税金を取り戻す数少ない選択肢でもある▼これならインフレの目減りを怖がる必要はないし、後者なら冒頭の広告のように20%近い。ただし開始手続きが面倒だし、「美しいバラには刺がある」との諺通り、CDSの〃危機レベル〃も内戦国以上に高まっている▼最後までため息交じりの話題が多かった今年だが、これで底を打って、新年は申年だけに猿の木登りのように右肩上がりになることを期待したい。本号で今年は最終号となる。新年は5日付から通常通り開始します。読者の皆さま、良い新年をお迎え下さい。(深)

テゾウロ・ジレットの説明ビデオ(ポルトガル語)

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