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発気揚々=サンティアゴ在住 吉村維弘央

 今年(平成27年)の大相撲も終わった。
 贔屓にしている白鵬が36回目の優勝を飾れず残念だったし、日馬富士、鶴竜に敗れた相撲は何となく後味の悪いものだった。
 今場所(九州場所)で白鵬が栃煌山を相手した時に使った猫騙しという手は横綱が使う手では無いという批判も一部にはあるが、小生にとっては初めて見る相撲の手で、こんな手もあるというのを知ることが出来、面白いと思った。
 大鵬関が飾った32回という優勝回数を塗り替えた白鵬の努力というものは、やはり大きな意味を持つと小生は思う。
 歴代の横綱の優勝回数を見ていると、年間6場所になってから1年間すべてを連続優勝したのは皆さんご存知の通り、あの強烈な個性を発揮した朝青龍ただ一人で2005年のことだったが、この記録を今後破る力士が出て来るかどうか小生は疑問に思うし、対戦相手が弱かったかどうかは別にして、単純に記録という面で素晴らしいものだと思える。
 6場所のうち1場所だけを取りこぼした回数で言うと、朝青龍が004年に1回、白鵬が2010年と2014年で合計2回と言う数字が出て来る。あの相撲巧者の貴乃花関でも、年間4回優勝が最高だった。ただ貴乃花関の場合は1994年、1995年、1996年と3年連続で年間4回優勝という記録を作っているのには脱帽だ。
 随分と永い間、一人横綱の重責を背負いながらこれだけの記録を築いて来た白鵬の苦労を評価する声が意外に少ないのが小生には気に食わない。 確かに、軽量ながら動きの速い巧妙な相撲を見せる日馬富士の相撲も面白いが、今回で7回目の優勝を手に入れたのは、相撲の神様の気まぐれとも言えるのでなかろうか。
 特に、確か3日目のことだったと記憶するが、碧山との勝負で物言いがつき、異例とも思える長い協議の結果、日馬富士が裾取りで勝ちとなった。これは素人目にも日馬富士の完全なる勝ちとは判断できず、当然のことながら取り直しということになるべきではなかったのか。公明正大という点からして、日馬富士の親方で審判長の伊勢ケ浜の判断がどうであったのか大いに気になるところだった。
 審判員の意見が一致しなかったからこそ、恐ろしいほどの長い時間をかけて協議が行われたと思えるので、多数の意見として必ずしも日馬富士の勝ちと判断されていたのでは無かったと思われても仕方がないのではなかろうか。いわゆる長い物には巻かれろ式での結論に至ったとしたら由々しきことで、観客を納得させるためにも、取り直しをさせるべきだったと小生は今でも思っている。
 まあ、それはそれとして、遠藤の立ち合いにかかる懸賞の数の多さには、これどういうこと?といつも感じるのは小生だけだろうか。いわゆるイケメン贔屓が多いということ? 今場所は足の怪我もあったかも知れないが、遠藤の勝ち星の少なさはちょっと恥ずかしい結果だったと思うが…まあいいか!
 それともう一人、魁聖。特にこれという技も無いのに何となく勝ち越しを決めるというのは面白い。やっぱり強いのだろう。陰ながら応援している関取の一人だ。
 好きな力士は安美錦、豊ノ島。既に引退した力士では魁皇、雅山、旭天鵬、若の里、豊真将等になる。
 平成21年(2009年)に一時帰国をした時、友人より愚妻と一緒に初場所の2日目の勝負に招待され、国技館で目の当たりに好きな相撲を楽しむことが出来た。升席を管理する相撲部屋関係者に導かれた場所は向い正面のかなり前の方で、花道を歩く力士達も近い場所から見ることが出来た。なにはともあれ、古希を過ぎて初めて目の当たりに大相撲を楽しむことが出来たのは楽しかった。
 升席につくなり、案内人より大きな紙袋を渡された。中にはお酒やら昼飯やら、十両以上の関取一人一人を紹介する大相撲1月場所と書かれたきれいな案内書もあり、ここには行司の全員も紹介されていた。戦前の4横綱と称し32代から38代までの横綱も紹介されていて、新しい知識を取りいれることが出来た。
 また、関取の力んだ姿を織り込んだ今治の大きな真っ白い湯上りタオルまで入っていて感激だった。このタオルは今年鬼籍に入ってしまったが、サンパウロに住む相撲好きの義兄のお婆ちゃんに差し上げ、顔をくしゃくしゃにして喜ばれたのを思い出す。
 当時の関取達は、横綱白鵬、朝青龍、大関琴光喜、千代大海、琴欧洲、魁皇、日馬富士、関脇杷瑠都、安美錦、小結稀勢の里、豊ノ島といったところで、この場所での優勝力士は朝青龍だった。
 昔の想い出に浸るのはこれくらいにして、最後にちょっと言いたいのは、これだけ外国からの関取達がいて、それも上位で活躍している力士も多いのに、なぜ審判席に退役した外国出身の大物力士を入れないのかということだ。
 確かに相撲は日本の国技だという言い方もできるが、現役中にあまり実績も無かったような力士を審判員として無理矢理に並べるのは止めて、もうそろそろ度量の大きいところを披露しても良いのではなかろうか?
 文句が出そうな気がする!!。
 楽書倶楽部第27号で有沢真理子さんが日本語と通じ合うヘブライ語をいくつか紹介しておられたが、このなかでハッケヨイが投げ打て、よろしく、ノコッタが征服したという意味だと説明されていたが、外国勢に征服したと言わせないためにも改革が必要ではなかろうか。
 ハッケヨイ、発気揚々、ノコッタ、残った!!!!。

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