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「コロリ教」黄泉の道=イビウーナ 瀬尾正弘

 阿部さんは昨年10月、コチア青年の仲間より傘寿を祝福された一人である。彼は山口節男(コチア青年連絡協議会初代会長)と共に長野県出身で、同船者でもあった。二人は親しく、コチア青年第1回大会開催や協議会設立の発起人でもあり、冬至活躍した有力なメンバーであった。
 阿部さんの住まいはリベルダーデで、隠居の彼は毎朝8時前後に可愛い愛犬と住宅の近辺を散歩するのが一日の大切な日課なのだ。彼と私は時々(毎火曜日しその配達の朝)会うので、その折は5~10分ほど四方山話となる。先週会った折珍聞を得たので、この度の記事はそれをネタにして書く。
 「ボンジア(=おはよう)阿部さん、最近の犬との散歩は、あなたが愛犬に引かれて散歩している様だね」「そうだね」「そうでしょう。ところで阿部さん何か面白い話ないかね」と聞くと、「あるよ~」と、彼は聞かれるのを待っていたとばかりの様子。
 「実はね、最近新しい宗教に入ったよ」「何だって?新しい宗教だって?」意外に思った私の表情を見て、彼はにんまり。「その宗教はね『コロリ教』と言って、入信しておればお迎えが来ても、死の恐怖など全くなく、逝く折には‘コロリ‘と一瞬のうちに帰らぬ旅に出られるそうだ」云々。
 私はふきだしそうな笑いを抑え、「なるほど成程、それは素晴らしい宗教だ。阿部さん、コロリ教を本当に創設し教祖になったらどうかな?新聞で信者募集したら入信者が殺到するのでないかね?」彼と話しているとジョークやとんちが飛び出すので、いつも二人で大笑いするが、今度の珍聞は特殊だ。久しぶりに長話しをしてしまった。
 最後に、『コロリ教』について追記しておこう。江戸末期に、緒方洪庵(おがたこうあん・1810~1863)という蘭学者がいた。彼は備中(岡山県)生まれ。長崎で蘭学を学んで医業(緒方塾)を開き、大阪・江戸で活躍した。
 塾では医業ばかりでなく、日本の将来を背負う人材の育成にも尽力した
門下には福沢諭吉、大村益次郎ほか多くの逸材を輩出している。
 この洪庵の医学書に、『コロリとは死ぬ意味もあり、コロリ、三日コロリ。とんころり』などが記載されている。コロリと逝くのは老齢者の黄泉の道への理想の姿だと思うのだが、遺族となる者にとっては、死亡前後の事情・状況により、その思いはまちまちであろう。

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