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職員の手を借りながら編んでいく生徒らと、作業を見守る五十嵐さん(中央)
職員の手を借りながら編んでいく生徒らと、作業を見守る五十嵐さん(中央)

PIPAが紡ぐ日伯五輪の輪=リオ―東京で芸術作品を展示

 2020年夏季五輪東京大会の周知などを目的に、リオ五輪に合わせ東京都などが当国で文化事業を展開している。その一つである「TURNプロジェクト」は、日本の芸術家と当地の福祉施設の入居者が共同で作品を制作し、リオと東京で展示会を行なうというものだ。
 選ばれた施設は憩の園、こどものその、PIPA、モンテ・アズールの4つ。自閉症児の療育学級であるPIPAには日本人芸術家、五十嵐靖晃さん(37、千葉)が訪れ、6月末から制作を進めた。
 PIPAに与えられた題材は「江戸組紐」。糸の束を編んで織り上げる東京の伝統工芸だ。五十嵐さん曰く完成までに「仕込みが8割、編みこみが2割」。「手間ひまをかけ作り上げるという部分が日本らしい」と指摘する。
 本来は甲冑や着物の帯締めなどに使用される。今回は全長25メートルもの糸を使用した。そして一束に使用する数、なんと250本。糸を伸ばしそろえる、そんな根気のいる作業を繰り返し、巨大な8つの束を完成させた。
 出来上がった8本を天井からぶら下げ、「せーのっ」という掛け声で編みこんでいく。五十嵐さんと生徒33人が協力して組み上げた。「いびつかもしれないが、そんな部分から共同で作り上げた芸術を味わってほしい」と願いを込めた。
 作品は11日に輸送され、18日から展示会が始まっている。リオ市内にある文化施設パッソ・インペリアル(Praca Quinze de Novembro, 48, Centro)で来月7日まで。期間中は実際に糸をそろえる作業や、紐を組む体験もできる。終了後は、東京でも同様に展示会を開催する予定だ。

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