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元大臣竹中氏が安倍政権評価=経済好転や改革の機運語る

 サンパウロ大学で16日、2016年日伯国際シンポジウムが開催され、小泉内閣下で総務大臣などを歴任した竹中平蔵氏(慶応大学名誉教授)が講演した。ブラジル日本研究者協会(SBPN、仁井山進会長)が招聘し、『日本経済とアベノミクス』をテーマに語った。
 アベノミクスとはデフレ克服のための大幅金融緩和、機動的な財政出動による雇用創出、規制緩和による3つ成長戦略からなる経済政策のことをいう。バブル崩壊以降のデフレ経済から脱却し、持続可能な発展を目指したものだ。
 竹中氏は民間人として初めて閣僚に登用され、小泉内閣の頭脳として不良債権処理や構造改革を推進した。小泉政権以降は「改革意識が低下し、総理大臣が毎年代わる異常事態。だが、4年前発足した安倍政権による新たな政策で経済情勢も変化してきた」と背景を説明した。
 日経平均株価の上昇や失業率低下といった良い変化を指摘し、デフレ克服については「まだ完全ではないながらも徐々に克服しつつある。安倍内閣の成果だ」と評価し、その課題と成果について説明した。
 まずGDP比250%に達する累積赤字を抱える財政再建を課題として挙げ、社会保障制度の抜本的見直しが必要と語る。「統計的に世界の多くの国では、受給期間は10年」と指摘し、「国民から年金増大が要請される中で、政治的困難を伴うが着手しなければならない」とした。
 一方で「数ある成果の一つ」として、規制緩和を挙げた。国家戦略特区内で38年振りに、大学医学部が作られた例に触れ、「改革の機運は戻ってきており我慢強く進んでいる」と期待を寄せた。
 日本を取り巻く経済情勢については、「中国経済の失速や英国のEU離脱などにより、投資家の日本通貨への信頼が高まっている。金融緩和しても円高になるという皮肉な結果を産んでいる」と現状を分析した。
 また米国トランプ新大統領誕生が、日本にどのような影響を与えるかについて、本紙取材に対し「どのような政策を実施するかは未知数。だが、世界秩序の枠組みが大きく変わっていく可能性がある」と見ている。「悲観的になるのではなく、むしろこれまでの国防、経済など国家戦略を再考し、主体的に取り組んでゆく新たな機会の到来になる」と捉えた。
 最後に日本経済の今後の好機として、〃第4次産業革命〃と20年東京五輪を挙げた。人工知能、ロボット、IOT(モノのインターネット)と、それを通じた共有経済を活かした発展の在り方を指す。64年東京五輪では日本の原型が作られたとし、「第4次産業革命と五輪開催をどのように活かすかが最大の課題であり、最大の期待だ」と締めくくった。

 

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 竹中氏は総務大臣を務めていた2006年、当時地上デジタル放送の日本方式採用を決めていた、ルーラ大統領との覚書に署名するため調印式に出席したのが初来伯。08年移民百周年に伯日研究者協会と関わるようになり、「遠くて近い国」として二国関係の重要性を感じ、慶応大学内に日本支部を立ち上げた。今回で10回目の訪伯といい、翌日にはエンリケ・カルドーゾ研究所でも講演するなど、今年の活動も熱心にこなした。

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