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《ブラジル》 オデブレヒト社汚職疑惑=ブラジル以外最低5カ国でも検察が始動=合計で8億ドル近い賄賂=政権交代の国中心に捜査協力

オデブレヒト元社長、マルセロ・オデブレヒト被告(Cicero Rodrigues)
オデブレヒト元社長、マルセロ・オデブレヒト被告(Cicero Rodrigues)

 ラヴァ・ジャット作戦(LJ)で最大の汚職企業と目されるオデブレヒト社が、中南米を中心に国外11カ国でも贈賄工作を行っていたことが判明したことにより、少なくとも五つの国で同社が関与した事業での不正疑惑の捜査がはじまったと10日付エスタード紙が報じている。
 オデブレヒトが国外でも贈賄工作を行っていたことは、昨年12月に同社が米国で行った報奨付供述(デラソン・プレミアーダ)の一部が公表されたことで、広く知られるようになった。そこには南米のみならず、メキシコ、ドミニカ、グアテマラ、パナマといった中南米やアンゴラ、モザンビークといったアフリカの国も含まれていた。ブラジルを含む12カ国で同社が撒いた賄賂の額は、総額7億8800万ドルといわれている。
 この報道を受け、ペルー、アルゼンチン、エクアドル、パナマ、ドミニカの5カ国の検察が既に、オデブレヒトが関与したと見られる不正行為の捜査に乗り出した。
 これら5カ国では、ドミニカの9200万ドルを筆頭に、パナマ5900万ドル、アルゼンチン3500万ドル、エクアドル3350万ドル、ペルー2900万ドルの贈賄が行われていたとされている。
 オデブレヒトが関与した事業での疑惑解明されれば、各国の現・元元首や公社にも多大な影響が及ぶことや、オデブレヒトに対する損害賠償や罰金請求が出てくることも予想される。
 パナマ検察は当初、捜査開始に難色を示していたが、現職のフアン・カルロス・ヴァレラ大統領は年末にオデブレヒトとの新規契約を禁じた。同国は、現政権だけで25億ドルの契約を同社と結んでいる。同国は大学や市民組織からの圧力で特捜チームを立ち上げ、ブラジルや米国の協力も要請した。肉親が同社からの賄賂を受け取った疑惑が浮上しているリカルド・マルティネリ前大統領に捜査の手が及びそうだ。
 アルゼンチンでは、マクリ現大統領と強く対立していたネストル、クリスチーナのキルチネル政権下で贈賄が行われていたとされ、元企画相のフリオ・デ・ヴィド氏や元運輸局長のリカルド・ハイメ氏の名前が捜査線上に上がっている。
 ペルーでは、トレド、ガルシア、オジャンタの3人の大統領の時代に贈賄が行われているが、同国もクシンスキー大統領の就任後、日が浅いこともあり、捜査協力が得やすかったようだ。
 米国当局が発表した11カ国中、最大の9800万ドルの贈賄を受けたとされるベネズエラや、90万ドルの贈賄を受けたとされるアフリカのモザンビークなどからはまだ、捜査開始の話は出てきていない。

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