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コロニア芸能祭=圧巻の130演目を披露=日ごろの練習成果を存分に発揮

グランドフィナーレの太鼓集団「喜楽」による演技(写真:望月二郎)

グランドフィナーレの太鼓集団「喜楽」による演技(写真:望月二郎)

 「第52回コロニア芸能祭」が先月24日、25日にサンパウロ市リベルダーデ区のブラジル日本文化福祉協会大講堂で開催された。主催の同文協によると両日合わせて約2千人が来場し、約130演目の日本芸能が披露された。グランドフィナーレをジャパンダンス・カンパニー「優美」と太鼓集団「喜楽」が飾り、盛況の内に幕を閉じた。
 ブラジル邦楽協会による、琴の音色が美しい「葡萄の樹のかげ」の演奏で開幕した。歌謡、舞踊、和太鼓、民謡、剣舞、よさこい、カラオケ、リズム体操など、当地に根付く日本芸能の数々が披露された。
 同祭では事前の選考会の結果、上位半数の団体のみ演目を披露できる。楠本留巳実行委員長は「日本以外では世界で一番の日本芸能の祭典だと思う。規模も内容も素晴らしい」と話した。
 2日目は午前9時の白寿者表彰式から始まり、表彰対象者37人の内、33人(うち代理11人)が出席した。出席者には、文協の呉屋春美会長らにより表彰状や記念品が贈呈された。
 同祭終盤、昨年、終幕を務めた長崎県人会とイタペセリカ体育文化協会による龍踊りが上演された。龍踊りは、重さ100キロもある龍体を10人ほどが担ぐ約9分間の演目で、途中4回の交代をしながら計27人が出演した。本番直前にメンバーの一人が参加できなくなるトラブルもあったが、それを乗り越えて圧巻の演技を見せた。

 指導した今村浩三さん(27、三世)は「幕引き後、感極まって涙を流すメンバーもいた」と明かし、「練習はすごくきつくて、やめたいという子もいた。でも、『負けてはいけない。最後までやろう』と説き続けた」と本番に至るまでの苦労を振り返った。
 今年の終幕は、ジャパンダンス・カンパニー「優美」と太鼓集団「喜楽」による舞踊や和太鼓など6演目。美空ひばりの「ひばりの佐渡情話」の舞踊で幕が開かれた。白塗り化粧で浴衣姿の若い踊り手3人がしなやかな身のこなしを見せ、会場を魅了した。
 最後の演目は6人による和太鼓の合奏。立ち位置が次々と入れ替わっても一糸乱れない演奏に、観客は息をのんで舞台を見つめていた。6人は額に汗を走らせながら、笑顔で演奏を続けた。
 孫娘が「よさこい」を演じたという女性(60代、三世)は「孫の演技を目当てに初めて芸能祭に来た。他の演目も素晴らしかったのでまた来年も来たい」と話した。
 同祭では入場の際に、保存可能な食料1キロの寄付を呼びかけていて、今年は約940キロが集まった。救済会「憩の園」、子どもの園、やすらぎホーム、希望の家福祉協会の4施設に配布される。

 

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 太鼓集団「喜楽」代表の佐藤勇人さん(26、4世)は、楽曲「雪の渡り鳥」に合わせてやくざ役を演じた。「持っているものを全部出し切ろうと思ってやった」と言い、舞台上で迫真の演技を見せた。ただ本人によると「完璧にはできなかった」とのこと。「優美」と「喜楽」は毎回公演後に反省会をしているとか。大舞台を演じきった余韻につかる間もないが、芸への真摯な姿勢がグランドフィナーレでの万雷の拍手につながったのかも。
     ◎
 芸能祭に家族で来場した、ある男性は「これほど素晴らしい公演を日系人だけがみるのではもったいない」と話し、ブラジル人も含めて、より多くの人の目に触れることを希望した。今年は例年より来場者が少なく、空席がちらほら。週末のリベルダージには人混みを掻き分けなければ歩けないほど、たくさんの人が集まる。せっかく週末に開催するのだから、日本文化に興味があるブラジル人をもっと呼び寄せてもいいのでは!?

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