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わが移民人生=おしどり来寿を迎えて=山城 勇=(68)

 そこで手紙をしたためお願いした。しかし、よく考えてみると、東京や本土よりも出生地の沖縄の国立の琉球大学医学部の方が都合がよいと云うことになり、そこを目ざして手続きするようになった。
 出生地となれば、親族縁者も多数いて身元引受人にこと欠かないし、時折親族との交流も出来るし、またブラジル側からの要望や連絡等便利で他所に比べて有利な点が多い、それが一つの理由であったからである。

 そこで外間理事長を通じてその筋の関係者と接触手続きを依頼をした。その甲斐あって1989年1月9日留学決定の通知を受けることができた。
 同時にサンパウロの日本総領事館への手続きがはじまり、1989年度の入学式は4月6日と云うことが判明したので諸手続きを取り急ぎ、4月4日日航便でサンパウロを出発することになった。

 同じく次女の尚美が友人の県費留学生に刺激されたのか、是非日本留学したいと云うことである。
 彼女も学齢期をひかえているしその夢と希望をかなえてあげるべきだと思い、幸いマッケンジ大学の日伯国際商法セミナー(1988-8-20~25)に来伯中の沖縄大学新崎盛てる学長による移住者子弟留学生受け入れの知遇を得て、城間牧さん(カロン)と2人を推薦することにして申込み手続きをはじめた。

 私立大学への自費留学第1号と云うことになる。

 しかし、総て自弁の自費留学となるとこれまた仕送りも大変だと思いがちだったが、幸いにも学費免除の恩典に浴し、更にひめゆり会館の山城幸次郎君の店で手伝いながらアルバイトで少々稼ぎ学資に当てるといった、幸次郎君の好意に甘えて何とかその願いを果たすことが出来た。

 こうした親族の温かい思いやりと大学の支援によって子弟留学への道を開いてくれたことは、実に有難いことであり感謝にたえないことであった。
 更にまた、在伯沖縄青年協会では、青年隊移民30周年を機に子弟2世青年隊の入隊制を企画し、これを実施することになった。

 

 即ち「試験的」に3名の希望者を送ることを申請し、母県産業開発青年協会の好意的受け入れで実現することができた。
 これに次男の達弥が応募したのでこれ幸いと、第一次隊久場盛忠の長男政義君と第5次隊山田孝由の長男のマルクス君の3名が共に入隊することになったのである。

 1989年3月27日3名揃って出発した。

 親の願いが叶えられたこのような子弟教育構想は、移民青年隊運動の新たな後継者を育成する画期的な企画だった。
 ところが、その中の山田マルクス君が祖父と初対面し喜びを語り会った夜半火災に遭遇し惜しくもその犠牲となり、志半ばで希望を果たせなかったことは誠に残念なことであった。

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