10日には下院の憲政委員会(CCJ)で、テメル大統領(民主運動党・PMDB)に対する2度目の告発受け入れに関する報告官の意見書が提出され、11日には最高裁でアエシオ・ネーヴェス上院議員(民主社会党・PSDB)が停職処分に当たるか否かの基準となる憲法違反行為(ADI)についての審理が行われるなど、ブラジルの政界の動きが慌ただしいものになっていると10日現地紙が報じている。
10日、下院のCCJでは、テメル大統領ならびにモレイラ・フランコ大統領府事務局長とエリゼウ・パジーリャ官房長官という、PMDBの下院出身重要閣僚に対する告発審理の受け入れに関し、報告官による意見書の提出と読み上げが行われた。
今回の告発は、テメル氏がPMDBの下院部門の長として、ペトロブラスをはじめとした公的機関での汚職工作を指揮していた容疑や、エドゥアルド・クーニャ前下院議長(現在逮捕中)と、PMDBのロビイストだったルシオ・フナロ氏が報奨付供述供述を行うのを防ぐため、口止め料を払わせて捜査を妨害した容疑によるものだ。
今回の件の報告官は、下院最高齢のボニファシオ・デ・アンドラーデ下議(87、PSDB)が務める。親テメル派のアエシオ氏に近い同氏が報告官を務めることに、連立与党離脱を唱えるPSDBの一部は強く反対。PSDBは同氏をCCJから外そうとしたが、ボニファシオ氏は他党の委員枠の提供を受けて、報告を強行した。
連邦政府は、8月に1回目の告発に関する投票が行われた際、テメル氏への告発審理継続に賛成した、ジェラウド・アウキミン・サンパウロ州知事の息のかかるサンパウロ州選出のPSDB下議たちや、同じく1回目で票が割れたブラジル社会党(PSB)の下議たちの説得を行った。さらに連立与党に対し、CCJの委員をテメル氏に有利になるメンバーに入れ替えるよう念を押すなどの対策を行っている。
一方、最高裁では11日、2週間前に最高裁の第1小法廷で収賄疑惑による上議停職と夜間外出禁止処分などを受けたアエシオ氏についての審理を行う。
これは厳密に言うと、この処分に対して上院側が問題にしているADIについての審理だ。上院側は、連邦議員は現行犯以外では逮捕されず、最高裁でも検察庁からの逮捕要請を却下したのに、上議職停止と実質的な自宅軟禁に当たる処分が行われたのを不服としている。上院では上議職停止処分を却下する決議を行う意向もあったが、カルメン・ルシア最高裁長官の説得もあり、この日の判断の結果次第ということになった。
アエシオ氏に対する処分は第1小法廷でも接戦だった上、大法廷での審理なら、アエシオ氏に近いジウマール・メンデス判事の存在もある。
上院は11日の最高裁の審理結果を見た上で、17日にアエシオ氏に対する処分取り消しについて審議する意向だ。