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野口総領事=初の地方公務でレジストロへ=「日本との関係強く、心強い」

市庁舎を訪問した野口総領事

市庁舎を訪問した野口総領事

 【既報関連】先月13日に着任した野口泰在聖人総領事は、レジストロ市で開催された『第63回灯篭流し』の日程に合わせ、初の地方公務として、2、3の両日に同市を訪問した。過密な日程のなか、市庁舎や文協会館、天谷茶工場等を視察し、地方日系社会の声に耳を傾けた。
 1日午後5時、市庁舎を訪問した野口総領事をジウソン・ファンチン同市長が歓迎。同市長は、市政の重点施策として観光振興の取組みを紹介した。SESC誘致に伴ない移転する日本人移民史料館新設についても言及し、灯篭流しなど地域の一大行事を開催する日系社会の観光振興における重要性を強調した。

和風様式の文協会館前で

和風様式の文協会館前で

 また、灯篭流しについて「先祖との関係が希薄化する世の中にあって、均衡ある社会を形成してゆくために重要」との認識を示し、日系社会の活動を称賛。
 特に「太鼓は素晴らしい。120ほどのメンバーがいるが、生活環境が異なる子供達が一同に集い、団体のなかで行動規範や規律を学んでいる」とも語り、「日本の良き精神性を吸収することで、伯国の様々な課題を解決していける」と日系社会への信頼の厚さを伺わせた。
 その後、野口総領事は灯篭流しに出席。翌日には、山村敏明UCES会長、佐久川マリオ副会長らの案内で、入植90周年を祝して建設された和風様式の文協会館や、12年にベースボール・クラブから名称を変更した体育協会会館を視察した。
 同会館では、佐久川副会長が当地の歴史を振返り、「戦中にはコロニアに近しい非日系人が会長に勤めるなど、レジストロ日系社会は伯人から守られてきた」と強調。戦後早期に発足した同クラブから枝分かれする形で93年に文協が発足し「日本文化は別の団体を作ってしっかり守っていかなければならない」として現在の形になったという。

60周年を迎えたレジストロ本願寺で焼香

60周年を迎えたレジストロ本願寺で焼香

 「何処の日系社会も文化体育協会と一緒になっているのが一般的ですが、文化と体育を別々にしっかりと面倒を見ているのがレジストロの特色」と説明。同体育協会は、およそ1600人の会員のうち6割は伯人が占めているといい、しっかりと現地に根ざしている様子が伺えた。
 その後、〃おばあ茶ん〃で知られる島田梅エリザベッチさん(90.二世)の邸宅を訪問。NHKの放送をきっかけに一年ほど前から観光ツアーにも組まれるようになったといい、到着した頃には20人ほどのツアー客が手摘みのこだわりの紅茶を味わっていた。
 90歳でありながら、先月には愛知県愛知旭市で開かれた紅茶フェスティバルに参加するため訪日してきたといい、「仕事をしないと落ち着かない。仕事をすることで一日が楽しくなる」と健在な様子。梅さんが刺繍したナプキンもテーブルに並んでいた。
 続いて訪問した天谷茶では、製茶工場を視察。一日当たりの生産能力は、緑茶100キロ、紅茶千キロというほどで、同地では唯一、緑茶を生産する。三代目経営者の天谷良語さんによれば「インドやケニア産と価格競争では負けて、紅茶は輸出がストップしている状態だ」と厳しさを伺わせる。

「おばあ茶ん」で有名な島田さん宅で飲茶

「おばあ茶ん」で有名な島田さん宅で飲茶

 だが、緑茶は国内市場が伸びつつあり、富裕層に照準をあてた薄荷やレモングラスを配合した緑茶などの新商品も開発しており、市場展開を拡大させたい意気込みだ。
 その後、邸宅内にある嘗ての栄華を伺わせる豪華な洋風御殿で一行をおもてなし。その裏にある23年建立された二階建ての木造家屋は、現在では文化遺産に指定されている。当地の日本家屋には白蟻対策のためカネーラ・プレッタという樹木が使われており、清水ルーベンス同市観光委員会委員長からは「日系移民のシンボル・ツリーとして登録したい」との説明もあった。
 そのほか、移民100周年を記念したモニュメントや、姉妹都市である岐阜県中津川市との交流を祝して造園された中津川公園、現在SESCが施設を利用する海外興業株式会社(KKKK)の精米所と倉庫群など、日本移民と縁ある場所を訪問した。

天谷茶の製茶工場を視察

天谷茶の製茶工場を視察

 訪問を終えた野口総領事は「伝統的な慣習が根づき、60年以上に及んで守られていることが非常に印象深かった。日系人が現地に根を張り、連携して地域活性化に貢献している」と述べた。
 「姉妹都市交流によって、日本との関係を大切にされていて非常に心強く感じた」とも語り、「日本では盆踊りなどの伝統は消滅しつつある一方、地球の裏側の伯国でそれが盛上っている。日本文化が益々発展するよう側面支援していきたい。20年に向けて、東京五輪音頭も普及させていければ」と展望を語った。

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