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戦争と移民「沖縄ディアスポラ」=『日本文化』6巻、販売開始=なぜ強い影響力生まれたのか?

日本文化6巻

日本文化6巻

 サンパウロ青年図書館とニッケイ新聞は6日、『日本文化6~戦争と移民、沖縄ディアスポラ~』を刊行した。主題は「沖縄戦」だ。第2次大戦における日本では数少ない陸上戦を体験した沖縄。その評価は、戦争を指揮した本土側と戦場となった沖縄側で全く異なる。本書は両者の見解に、戦争体験を持つ県系移民らの視点を加えたコロニアならではの一冊。沖縄戦と移民の密接な関係についても解説し、今後の沖縄系社会の将来についても予見する。

 ブラジル日系社会人口190万人中、沖縄系は約19万人を数える。カズだけでなく、日系代表5団体のうち、文協、援協、アリアンサの長を占める活躍ぶりを見せる沖縄系移民。彼らの存在なくして、日系社会は語れない。大きな影響力を持ってきている。
 彼らは、なぜそんなに大量に渡伯したのか。その原因の一つとして沖縄戦を説明するのがこの本だ。ポ語を併記してあり、子孫にも大事な歴史的事実を知ってもらえる一冊になっている。
 本土側の見方として、人気メルマガ『国際派日本人養成講座』の伊勢雅臣氏の論説を3本掲載。なぜ日本軍が沖縄で粘って、県民を犠牲にしてまで米軍に大打撃を与えようとしたかといえば、それによって本土上陸を思いとどまらせ、降伏時の交渉を有利に運ぶ思惑があったからとその意義を説く。
 対する見解として、沖縄戦体験者の戦後移民・宮城あきらさんの書き下ろし論説を2本掲載。「私は沖縄戦体験者の一人であります。<中略>生まれた街も家も焼き尽くされました。<中略>壮絶無残な沖縄戦の悲劇を「和平への死闘」と肯定的に評価し美化していることに私は納得がいかない」と戦災者の立場から意見を述べる。
 宮城さんの論説中には、米軍統治下で進められた沖縄県民の移民政策の実態と推移も示されており、沖縄戦と沖縄系移民の密接な関係がわかる。また、その実例として、凄絶な戦争体験をした後、ブラジルに移住した高良忠清さんの自分史も掲載されており、当時の沖縄県人の人生を追体験することができる。
 沖縄戦で荒廃した島から次々に飛び出してきた沖縄系移民。彼らは現在「世界のウチナーンチュ」という新しいアイデンティティを生みつつある。5年に一度の「世界のウチナーンチュ大会」という大規模な県系人イベントが、どんな影響をブラジルの沖縄系社会に与えているか。
 県系人意識の根幹にある「ウチナーンチュアイデンティティー」(沖縄人意識)の確立過程がわかるよう、県系子孫の知念・城間・ヴァネッサさんと比嘉・玉城・アナ・マリアさんの「世界のウチナーンチュ大会」書き下ろし体験記を掲載した。体験記からは、自己認識の不安定だった沖縄系子弟が「ウチナーンチュ意識」に目覚めた瞬間の、溢れ出る喜びが伝わってくる。
 副題の「ディアスポラ」は、ギリシャ語に由来する言葉で、元の国家や民族の居住地を離れて暮らす集団のことを指す。イスラエル・パレスチナの外で暮らすユダヤ人集団のことを指して使われることが多いが、沖縄系移民に対して使われるにもふさわしい。
 全304ページ。日ポ両語書籍。販売価格40レアル。ブラジル沖縄県人会、太陽堂、フォノマギ竹内書店、高野書店から購入可能。
    ◎
 掲載内容は以下の通り。【序章】『全体構成の説明』編集部、『沖縄戦をいかにとらえ、どう考えるべきか』宮城あきら【第一章】『沖縄戦の概要―和平への死闘』伊勢正臣、【第二章】『沖縄県民二十万人を救った二人の島守』伊勢正臣【第三章】『沖縄県民斯く戦えり』伊勢正臣【第四章】『子供時代の戦争体験』高良忠清【第五章】『沖縄戦と戦後の沖縄県人移民』宮城あきら【第六章】『新しい世代におけるウチナーンチュアイデンティティー』知念・城間・ヴァネッサ【第七章】『世界のウチナーンチュ大会体験報告』比嘉・玉城・アナ・マリア。

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