【既報関連】ブラジル政府は年内の年金改革法案下院承認を目指しているが、賛成票の取りまとめ役を期待されているロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)は27日、年内に2度の承認を得るのは難しいと述べたと、28日付現地紙が報じた。
エンリケ・メイレレス財相はこの発言に即刻反応し、「12月6日(同議長が数日前に目処として上げた日付)の採決、承認は不可能ではない」と語った。
マイア議長がサンパウロ市で語った言葉は、「下院採決は2月が良いのではないか? でも、2月半ばはカーニヴァルもあるか…」だった。発言は政府にも不信感を与え、議長はこの日、ブラジリアに戻った直後、テメル大統領に呼ばれ、真意を問いただされた。
来年は選挙年だから、年内に下院だけでも通過させないと、年金改革成立が危ういというのは与党関係者の共通認識だ。今年の最終審議は12月22日だが、報告官のアルトゥール・マイア下議(社会民衆党・PPS)は先週、「12月15日以降の審議は難しいだろう」と語っている。
マイア議長は、「メイレレス財相が(承認に必要な)308票を持ってきてくれればな。そうすれば、彼の望む法案を通す」とぼやいた。やや挑発的な発言だが、メイレレス財相は問題を大きくしようとはせず、「議長の言う通りだ。下院では308票が必要なんだよなあ…」と語った。
企画省は同日、年金改革が不成立なら、来年の経済成長率予測は、改革成立が前提の2・5%増から0・3%増に低下するとの文書を発表した。
マイア議長は、報告官が先週提出した改革案をさらに変更する必要がある可能性も認めた。改革案が変更されれば、承認には更に時間がかかる。
ただ、今の改革案は、度重なる譲歩の末、当初政府が想定していた歳出削減効果の6割を保っているに過ぎない。